GATE １８ →

93 ページ43

「帰ったら、今朝渡したパンフレット見とけよ？」

って、頭を撫でるのもやめて欲しい。

こういう時くらい、対等でいたいから。

プライベートでくらい、教師と生徒をやめてもいいんじゃない？







「今日は裕太の部屋に行っちゃだめなの？」

「今日はもう遅いから。
明日も学校だし。」

…って、つまんない。

「学校を１歩出たら、もうプライベートなんだよね？」

「まあね。」

「じゃあ、もう教師と生徒じゃないよね？」









「だから、今は普通の恋人同士だよね？
だから、私のこと生徒扱いしたり、子供扱いするのやめて。」

そう言い切れば、先生はふっと鼻で笑う。

「よく言うわ。
部屋ではいつも、俺の膝の上に乗って甘え放題のくせに。」

くしゃくしゃと髪を撫でながら。

「いいから、可愛がらせろよ。
じゃないと、俺も我慢できないし。」

「我慢って？」

「好きな子にはいろいろしたくならない？
いろんな所へ一緒に行ったり、その服も脱がせてみたくもなるし。」

「…裕太、とんでもないこと言ってるの、わかってる？」

「Aの言う普通の恋人って、そういうもんだろ。
俺らにはまだ無理なんだから、Aも我慢して？
卒業したら、Aの好きなようにさせてやるから。
それまでは、甘やかせてやるから。」








「じゃあ、卒業したらもう甘えちゃだめなの？」

「どうかな。
Aがいい子にしてたら、甘やかせてやってもいいけど。」

なんかやっぱり、子供扱いされてるよね。

私はそんなのじゃ満足できないのに。

でも、甘やかせてもらえないのも嫌だな。

「…何？今日も膝の上に乗りたかった？」

からかうように言われて、ついムッとなる。

「違うし！」

違わないけど。

超甘えたいんだけど。

それをどう表現していいのか、わからないだけ。







「前だと狭いから…、後部座席に行く？」

食べてる途中なのに、わざわざ後部座席に移動して、

やっぱり私は先生の膝の上に乗ってる。

時折先生は私の名前を呼んで、ポテトを口に運んでくれる。

…なんか、こういうのって間違ってんのかな。

玉森先生に、ただ甘えてるだけとか。

「裕太は…、嫌じゃない？
こんな風に甘えられて。」

「…俺が10代の頃だったら、嫌だったかもね。
でも大人になった今は、好きな子に甘えられたら素直にうれしいって思えるようになったかも。」

そう言って先生はまた、私の髪をくしゃくしゃと撫でた。

94→←92

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す