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そう言われて、大袈裟なくらいに胸がドキッと痛んだ。

もしかして、見抜かれてる？

私と先生のいろいろなこと。

「だから私も無理を言って、玉森先生に補習をしてもらうことにしたんだ。」

彼女は何が言いたいんだろう。

彼女の意図が読み取れなくて、あえて次の言葉を口に出さない。

「私も玉森先生に特別扱いされたいし。」









「私だってＡ大希望なのに、玉森先生が引率したのはAちゃんだけじゃない？
そういうのって、贔屓っていうんだよ。」

彼女の口調は穏やかで、別に責めてるわけではなさそうだけど。

言ってることは、なかなかドギツい。

「それに、お互いのスマホを見せ合ってたじゃん。
それに、玉森先生は自分のスマホをAちゃんに渡してた。」

…そこを見られてたか。

ということは、学食でのやり取りを見られてたんだ。

「別に、意味はないですよ。」

なんて誤魔化してみるけど、彼女は微笑んでるだけ。

「そう？
会話も聞こえてたけど。」

…あーあ、これは完全にバレてんじゃん。

どうする？

さんざん考えて出した答えは、もうこれ以上私は彼女と余計な話をしない、ってことだった。

それきり口をつぐんで、問題集を開く。

もうこれ以上はあなたとは会話をしませんっていう、無言の行動。

だけど、ここで何も弁解しないっていうのは、ある意味認めているようなもんだよね。









そこからは無言で自習が続いた。

授業を終えた玉森先生が帰ってくるまでずっと。

だけど彼女は先生と入れ違いで、

「じゃあ次は授業なので。」

って、進路指導室を後にした。

彼女が行ってしまったのを確認してから、

「先生！」

って、机越しに先生に詰め寄る。

「あの人、私達のこと気付いてるよ。」

なのに、先生は全然驚かない。

「やっぱり？
なんかそんな感じだなー、って思ってた。」

「どういうこと？」

「朝、職員室で少し話をした時に、それっぽいこと言ってきたから。
オープンスクールで仲良さそうでしたね、的な。
俺は聞こえてなかったふりしてスルーしたけど。」

先生はいつでも余裕だね。

もし彼女が悪い人だったらどうするの？

私達、バラされて大騒ぎになるんじゃない？

なのに先生は、

「…まあ、なんとかなるんじゃない？」

とかって、ポジティブすぎるよ。

私なんかさっきから、心臓がバクバク止まんないんだけど。

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