GATE １８

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「先生の指って綺麗ですね。」

先生の指を凝視したまま、そう告げると、

「…は？何それ。」

って、先生はすぐにその指を引っ込めてしまった。

「何？指フェチなの？」

「そういうわけじゃないけど、指が綺麗な人は好きだなー。」

素直にそう言っただけなのに、先生は思いっきり警戒した顔をして、

「お前…、俺のこと好きになんなよ？」

とか言ってくる。

先生のいい部分を誉めただけじゃん。

どんだけ自信過剰なんだよ、この先生。








毎日毎日、補習は続く。

夏休みの誰もいない静かな校舎で、先生と密室に閉じこもって毎日１０時間以上過ごしてるけど。

ずっと、気になってることが２つだけあった。

まずは、他の先生も勉強を見に来てくれるって言ってたのに、誰一人来ないこと。

たまに学年主任や教頭が見に来る程度で。

それも最近では、全然現れなくなってきた。

「玉森先生以外の先生って、来てくれないんですか？
来るって言ってなかった？」

「あー…、それね。
ちょくちょく来られたら面倒だから、俺が全部面倒見るって言っといた。」

「先生って数学の教師だよね？」

「そうだけど？」

「英語とか国語は？」

「文系は自分でできるんじゃない？」

「じゃあ、理科系は？」

「それはなんとか教えられる。
あと、社会の選択は日本史だっけ？
そんなの、覚えたら済む話じゃん。」

相変わらず強引だな。

そんな簡単に偏差値なんか上げられるわけないじゃん。









あともう１つ聞きたかったのは、この進路指導室の扉のこと。

「先生、普通男の先生と女生徒が２人きりになる場合って、ドアを少し開けとくもんだと思うんですけど。」

そう聞いたら、先生は興味なさそうな顔をして、

「そうだね。」

なんて、あっさり答えてくる。

「何で開けとかないんですか？」

「廊下を誰かが通るたびにチラチラ覗かれたりとかさ、急に入って来られるのも嫌だし。
エアコンの冷気が逃げるのと、Aの集中力がいちいち途切れるから閉めます、ってもう教頭には報告済みだし。」

…呆れた。

それって、玉森先生の都合じゃん。

私は突然入って来られても平気だし、エアコンだって先生が設定温度下げ過ぎで寒いくらいだから開けといても全然平気なのに。

全部私のせいにしちゃうなんて、ずるくない？

本当に先生は自分勝手で、外面よくて、そのくせ私の前では傍若無人だし。

そんな最悪男だけど、その綺麗な指だけは、評価してあげる。

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