GATE １８

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「それより、玉って学校ではどんな感じ？」

北山さんにそう聞かれて、しばし悩む。

正直に告げていいものか。

私の知ってる、リアルな玉森先生を。

「なんか想像がつかないんだよね。
ふわふわしてて何考えてんのかわかんない感じだったから、学生時代は。」







「…今も、変わんないですよ。
たぶん。」

「どういう意味？」

「他の生徒や先生の前では完璧な教師だけど。
補習中に私と２人でいる時は、ぐでたまみたいになってる。」

「何それ。」

私のぐでたまの例えがツボに入ったのか、北山さんはずっと笑ってるけど、

私は間違ったことは言ってないと思う。

「いつも進路指導室で補習してるんだけど、ドア閉め切っちゃってやりたい放題ですよ。
私が勉強してる前で寝ちゃったりするし、私の補習もビジネスって感じで割り切ってるみたいだし。」

「もしかして、すぐに「めんどくさい」とか「だるい」とか言ったりする？」

「する！言ってる。
生徒が勉強してる真ん前で、「眠い」「怠い」「帰りたい」とか平気で言うし。」









「Aちゃん、それさー…。
玉の素の姿だよ。」

「素の姿？」

「真実の姿って言った方がいい？
本当の玉はそっち。
Aちゃんが見てる方。」

そうなんだ…。

私の見てるのは、本当の玉森先生の姿なんだ。

そう思ったら、自分でも意外なことに幸せな気分になってきた。

胸の真ん中からじわっと暖かくなっていくような感じ。








「Aちゃんが笑ってんの、初めて見た。」

北山さんにそう言われるまで、自分が笑ってるのなんて気付いてなかった。

私はいつも、無表情らしいから。

「そんなにうれしい？
玉がAちゃんの前で素の自分をさらけ出してるのが。」

「…うれしい、かも。」

意外だ。

まさか自分がこんなことで喜ぶなんて。

「他の生徒には見せてないってことは、
Aちゃんはだいぶ信用されてんじゃない？」

「でも最初からそんな感じだったよ？」

「Aちゃん、大人っぽいしね。
同じくらいの歳の子と比べると、精神的にも成熟してる感じ。」

見かけだけだよ、それは。

しっかりしてるようで、中身は全然未熟なんだ。

そして、玉森先生はそれを見抜いてる。









ランチからの帰りに寄り道したカフェでお茶してたら、いきなり玉森先生と優さんに出くわしてしまった。

やっぱり先生は教師みたいな顔をして、

「お前、何してんの？」

って説教モードに入ろうとするから、腹が立つ。

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