GATE １８

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「恋愛相談？
いいんじゃない？担任にしても。」

バカじゃない？先生。

先生への恋心の処置の仕方を聞きたいのに、当の本人に相談するバカがどこにいるわけ？

「玉森先生にはしない。」

「…何で？」

先生は納得いかないって顔をして私を見てくるけど、

信号が青に変わったのと同時に、私はその答えをスルーして歩き出す。

「もういいよ、掴んでなくて。
ちゃんと帰るから。」

先生は袖口を離してくれたけど、

「反抗期か、お前は。」

って、呆れたような声を出してくる。









「お前は精神的に大人だって思ってたけど、最近ツンケンしてくんじゃん、俺に。
もしかして、思春期にちゃんと親に反抗してなかったとか？」

その質問にも私は答えない。

反抗期はちゃんとあったよ。

常に苛々してたし、誰かに八つ当たりしたくて仕方なかった。

でも八つ当たりする相手がいなかっただけだよ、私の場合。

「言えよ、なんでも。
特に今は大事な時期だし、悩みを抱えたまま受験勉強してるのもよくないから。」

先生らしくないよね。

普段ならそういう生徒の悩みとかさ、めんどくさがってスルーしちゃいそうなドライさなのに。

だからなんだか、腹が立った。

「じゃあ言うけど！」

勢いに任せてそう言いかけたけど、やっぱりその続きは言えなかった。

言えるわけないじゃん。









なのに先生は、

「何？」

って、続きを急かしてくる。

「…やっぱ、いい。」

「言えよ。」

「そんな脅すような言い方じゃ、生徒も話しにくいと思うよ？」

なんて話を逸らしつつ、この次の角を曲がればうちのマンションに着く。

だから、

「先生、もうここでいいよ。」

なんて、話題を変えるみたいに立ち止まった。









「…俺、嫌いなんだよね。」

なのに先生はそんなこと聞こえてないって風に、私のマンションに向かって歩き出す。

「何が？」

「言いかけたこと、やめられんの。」

先生がこんなに私の悩みを聞きたがるなんて思ってもみなかった。

「早く言えよ。」

って、なんだかイライラしてるし。









「好きな人ができた。」

だから正直に教えてあげたのに、

「誰？」

って、突っ込んでくる。

いいの？

後悔してもしらないよ。

「玉森先生だよ。」

その言葉にさすがに先生も驚いたのか、一瞬だけ目を大きく見開いた後、

「お前…、もしかしてからかってる？」

とか、冗談方向に持って行こうとする。

甘いよ、先生は。

だから話を逸らしてあげたのに。

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