GATE １８

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「とりあえず、来週から登校ね。
みっちり授業と自学をしてもらうから。」

そんな力強い言葉とは裏腹に、玉森先生は溜息をつくから、

思わず本音が口から零れだしてしまう。

「…ほんとは、めんどくさいって思ってるくせに。」

聞こえないくらいの声で呟いたのに、先生の耳にはしっかり聞こえてたみたいで、

「めんどくさいよ。
お前のせいで夏休みも潰れちゃいそうなんだから。」

なんて言いながら、軽く溜息をつきながら書類を片づけていく。

「じゃあ、こんなことしなきゃいいじゃん。」

そう口答えした途端にまた、

「敬語使えって。」

って、叱られた。









「お前は他の生徒と違って、精神的に大人みたいだから、
最初に正直に言っとくわ。」

玉森先生は書類を全て鞄にしまい込むと、ようやくこちらに視線を向けた。

「正直、面倒なのは本当。
学校的には、お前の数学の偏差値を最低でも５０台に持って行くことを目標としてるわけ。
ということは、数学の教師の俺が頑張らなきゃいけないわけじゃん？」

「別に断っちゃえばいいのに。
数学の先生は他にもいるんだし。」

敬語を忘れてタメ口を使えば、無言でギロリと睨まれる。

「担任だから仕方ねーじゃん。
面倒だけど、やりがいのある仕事だとは思ってるよ。
それに俺、負けず嫌いなんだよね。」

「だから？」

「だから、やると決めたからには、絶対お前にいい大学に合格してもらわなきゃ困るわけ。」

「何で先生が困るの？」

「お前、ほんとに国語の偏差値７０越えなの？
敬語の使い方もわかんねーとか、ありえなくない？」

「先生だって。
生徒に面倒だとか暴露しちゃうとか、どうかしてると思うよ。」

そう言い返したら、意外にも玉森先生は笑い出した。

初めて見たかも、玉森先生の笑ってるとこ。

意外と可愛いじゃん。

でも今そこ、笑うとこじゃないけどね。








「じゃあ、もういいわ、敬語とか。
タメ口でもいいけど、他の先生の前では一応敬語使って。」

先生は鞄を片手に立ち上がると、

「送るわ、家どこ？」

なんて事務的に聞いてくる。

「大丈夫です、すぐ近くなんて。」

正直、家まで送られるとか無理なんですけど。

だけど先生は、店を出てからも強引に私を家まで送り届けた。









帰り道、先生のマンションも我が家のすぐ近くということもわかり、

なんだかますます気が重い。

近所とか、ありえないでしょ。

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