GATE １８

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「起きてんじゃん。」

拗ねたような先生の声が聞こえてきて、

私の熱で暖まった右手から、まだ冷たい左手に変えてくれた。

「昔から手が冷たいってよく言われるんだよね。」

「…それって、彼女から？」

だって手を繋がないと、その人の手の温度なんてわかんないじゃん。








「プライベートな質問には答えませーん。」

先生はふざけた言い方で、部屋の明かりをつける。

急に部屋が明るくなって、眩しさで思わず両手で目を塞いだ。

今日の私は、普段の物わかりのいい生徒じゃないから。

熱がある時に聞き分けがいいなんて、ありえないじゃん？

「先生、彼女いないんだ？」

そんな私の挑発も、先生はのらりくらりと躱してくる。

「じゃあ、逆に聞くわ。
Aは彼氏とかいるわけ？」

そう来たか…。

ほんと大人って嫌だ。

こうやって、すぐに話題を切り替えてくる。

私が何も言わないでいると、

「まあ、こんな時に看病に来てくれる男がいないってことは、いないんだろ？」

って、勝手に決めつけて自己完結してくるあたり、

当たってるだけに腹が立つ。









「…今、何時？」

「夜中の３時。」

３時！？

そんな時間に先生がこの部屋にいるのってヤバくない？

「…先生、帰らないの？」

「帰りそびれた。」

「うちから近いんだよね？家。」

「…まあ、そうだけど。
明日、病院に連れて行くからこのままいるわ。
自分の部屋に帰ったら、起きれなさそうだし。」

「まさか、泊まるの？」

びっくりしてそう聞き返したら、

「…仕方ねーじゃん。」

とか、めんどくさそうな返事が返ってくる。

「先生、疲れてるんじゃないの？」

「超、疲れてる。」

「帰って寝なよ。
先生、疲れてるから何が最優先なのか混同してない？」

こんな会話を続けながらも、私の体はどんどん熱で怠くなっていく。

早く帰ってくれないかな、と思いながらも、内心、いてくれたら安心するかもっていう感情まで湧いてきて、ほんとに迷惑なんだって。








「生徒の部屋に先生が泊まるのってどうなの？
私の病院のことを心配してくれるのはありがたいけど、そっちの方が大問題だと思うよ？」

眠いのを我慢してそう伝えてるのに、先生は全く気にもかけてないって感じで、

「Aが黙ってりゃわかんないじゃん。」

なんてサラリと言ってくる。

そうだけど…。

そうだけどさー。

それでいいの？

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