GATE １８

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先生のいきなりの登場に、私はぐったりしながらそれでも虚勢を張る。

「…何でまた来るの？」

もっと気の利いたことを言いたかったけど、熱のせいでうまい言葉が浮かばなかった。

「何？その言い方。
せっかくAのために、いろいろ持って来てやったのに。」

玉森先生はコンビニのレジ袋を掲げて見せるけど、それすらぼんやりと霞んで見える。

「やっぱ熱、出ちゃった感じ？」

軽い感じで言いながら、ベッドサイドにスポーツドリンクやゼリーを次々と並べていく。

「どうせ飯食ってないんだろ。
適当に買っといた。」

次々と袋からプリンだの、カットフルーツだのを取り出していくのを、ベッドの中からぼんやりと眺めていた。







「明日の朝、病院へ連れてくわ。」

「…いいって。」

今までだって、１人で熱とか下げてきたんだから。

自分の体のことはよくわかってる。

こういう時は寝てたら治るんだって。

「お姉さんには連絡した？」

「…してない。」

だって、お姉ちゃんに連絡したってすぐには動いてくれないもん。

お姉ちゃんは恋に生てきる女だから。

いつだって彼氏優先だし。

昔はよくお姉ちゃんに頼ってたけど、もうそういうのもやめた。

期待しても、裏切られるだけだし。








「一応、お母さんには夏バテみたいだって連絡しといた。」

「…ありがとうございます。」

「心配してたから、たいしたことないって言っといたけどよかった？」

「先生にしては気が利いてるじゃん。」

なんて、心の声がダイレクトに口から零れてしまう。

だけど先生は、そんな私の言葉に怒りもせずに、

「とりあえず何か口に入れろ。」

とか言いながら、私を起こしてくれるんだけど。

その起こし方が意外にもソフトで驚いた。

もっと強引に起こされると思ってたのに。







背中に枕やクッションを置いてもらって、それにもたれながら、なんとかベッドの上で座れてる私は、

正直、食欲なんてないし、すぐに寝ちゃいたいくらいなのに。

先生は意外に楽しそうに、私の口に飲むゼリーを持ってくる。

「吸える？」

とか言いながら、思いっきり口に捩じ込もうとしてるじゃん！







なんとか少しだけ吸って、スポーツドリンクを飲ませてもらって、

また、ベッドに倒れ込むように横たわった。

「先生、よかったの？」

「何が？」

「今日、デートじゃなかった？」

こういうことも、普段なら聞かないけど、

熱のせいにして聞いてみることにした。

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