GATE １８

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とにかく、玉森先生の個人的な事情に付き合わされてる気がしてならないんだけど。

でもうちのお母さんは喜んでるし、毎日のようにＬＩＮＥで励ましてもらってるし。

お母さんがいなかったら、私はとっくにこの特別補習もギブアップしちゃってると思う。

「何？長妻と一緒がよかった？」

問題集をパラパラしながら先生は、意地悪い顔をして聞いてくる。

「一緒じゃなくても、交代でもいい。」

「なんだ。
長妻のことが好きなんじゃないの？」

「好きじゃないよ。
先生はすぐそっち方向に持って行くんだから。」

先生から問題集を奪い取って、今日のノルマのページを開く。

「指が綺麗って誉めただけで、好きになるなとか言うし。」

「高校生って普通、そんなことばっか考えてるもんじゃないの？」

「考えてないよ。
少なくとも私は。」

「何？好きなヤツとかいないの？」

って、楽しそうな顔で私の目を覗き込んでくる。

ほんとは先生の方が好きなんじゃないの？そういう話。

「先生は？
彼女とかいないんですか？」

逆に聞き返したら、スッと先生は教師の顔に戻って、その質問すら抹殺するように無視してくるくせに。

はいはい、プライベートなことは聞いちゃいけないんだよね。









その日の補習は、膨大に設定された課題が全然終わらなくて、学校を出た頃にはもう外は真っ暗になっていた。

クーラーで冷えきった体で外に出れば、夜なのにうだるような暑さ。

そのうち、頭はガンガン痛くなってくるし、フラフラになりながら帰宅して、

とりあえずお風呂に入ってそのまま、何も食べずに寝てしまった。

だけど朝になってもベッドから起き上がれなくて、天井が回って見えるくらい。

ヤバい…、これは今日は学校なんか行けないし。

机の上に置かれてる電話が何度も鳴るけど、そこまで取りに行くこともできない。

多分、玉森先生だな。

私が登校して来ないから、心配して電話をしてくれてるんだと思うけど。

そのうちに電話は鳴らなくなったから、きっと先生も諦めたんだと思う。

玉森先生がドライな人でよかったよ。








そのまま泥のように眠っていたら、玄関の鍵が開く音がして、誰かが家に入ってくる気配がした。

…お姉ちゃんだ。

よかった。

私、このまま死ぬのかなって思ってたよ。

だけど私の部屋のドアを開けてきたのは、玉森先生だった。

「やっぱ、寝込んでたか。」

てっきり怒られるかと思ったのに、先生は優しい顔をしてベッドに近付いてきた。

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