ショコラアレルギー chapter10

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翌週の試験は、本当に病室で受けることになった。

教授に見守られながらの試験なんて、なかなか経験できないかも。

そしてその試験の翌週、とうとう私は退院することになった。

状態が少し落ち着いてきたのと、自宅安静ができる状態が整ったからだとかで。

渉は本当に留学を中断してしまい、研究所もそのまま休みにして、東京の部屋から毎日病院に通ってきていた。

それはもう…、過剰なくらいに過保護だし、過剰なくらいに口うるさい。









久しぶりに帰った東京の部屋は真夏の昼間なのに涼しくて、渉がわざわざエアコンをかけたままで出かけてくれたんだなっていうのがわかった。

綺麗に片付けられた部屋は、先生と生徒だった私達が暮らしていたあの部屋に戻って来たような感じ。

懐かしさに浸っていたら、すぐに渉から小言を言われる。

「いいから早く横になって。
自宅で絶対安静にするってことで、退院許可を出してもらったんだから。」

「わかってるよ。
渉、口うるさ過ぎない？」

不満を言いながらもベッドに横たわれば、

「今夜から俺は、下に布団を敷いて寝るから。」

そう宣言されてしまった。

「何で！？」

「絶対安静の人間と一緒に寝るとかありえないから。
寝てる間にAのお腹に、足でも乗っけたら大変だし。」

確かに渉はたまに、私の腰に足を乗っけて寝ちゃってることがあるよね。

でも別々に寝るとか…、今までしたことないじゃん。

付き合う前から私達は、同じベッドで寝てきたのに。









本当に私は、この部屋ではベッドの上にいることしか許されない。

食事もテレビも、ずっとベッドの上。

トイレのシャワーの時だけが、私がベッドから降りることを許される時間で。

シャワーの間も、バスルームの外で待機している渉は、

「髪は洗ってやるから、体だけ洗って。」

とか、偉そうに指示してくる。

どこまで過保護なわけ？

だけど渉曰く、

「シャンプーは不自然な姿勢になるから、お腹に負担がかかるから。」

なんだって。

空っぽだった本棚には、妊娠や育児関連の本が増えていたから、きっと私の入院中にかなり勉強してたんじゃないかな。

研究家の渉のことだから、きっと過剰に知識を詰め込んだんだろうな。

だって今夜のメニューだって、出汁の味しかしない完全和食で、

「塩分の取り過ぎはよくないから。」

って、しかめっ面で言ってくるけど。

今からこんな感じだと、産まれた後の方が怖いんですけど。

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