ショコラアレルギー chapter10

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渉の近くの行くだけで、私はこんなに癒されるのに。

何でわかってくれないかな。

要するに、死ぬほど甘やかされて大事にされたいだけなんだけど。

きっと堅物の渉には、言わなきゃわかんないことなんだろうな。

「今夜だけじゃだめだよ。
毎晩、こうして私を甘やかして誉めて大事にして。
そうしたら私は頑張れるから。」

「そんなことでいいわけ？」

「そんなことでいい。」

私はずっとこれが欲しかったんだと思う。

そんな簡単なことがわからないなんて、渉は賢いけどバカだ。









翌日の夜、寝室に入って驚いたのは、布団がひとつ減らされていたことだった。

知花を既に寝かしつけていた渉は、

「今夜から一緒に寝るんじゃなかった？」

とか真面目な顔をして、さっさと先に布団に入ってしまう。

とりあえず、一緒に布団に入ってみるけど、なんか不思議な感じ。

ちゃんと意味がわかってんのかな。

ただ一緒に寝る、だけじゃだめなんだよ？

私が布団に入るのを確認した彼は、そっと左腕を私の首下に差し込んだ。

「今日は何があった？」

優しい声でそんなことを尋ねてきた。

「何もなかったよ。」

だって今日も、代わり映えのしない一日だった。

泣き止まない知花を抱いて、家じゅうをぐるぐる歩き回ったり、

眠らない知花を抱いて、延々とゆりかごみたいに揺らしながら寝かしつけたり。

刺激も何もないけど、最近たまに知花が笑ってくれるようになったから、その時は疲れが飛んでく感じ。

それ以外は…、特に。

「最近俺ら、ちゃんと会話してなかったなって思って。」

ああ、だから急に今日の出来事とか聞いてきたんだ。

本当に最近の私達は、育児に追われてて、会話は知花のことばかりで。

だからこそ昨日の夜は幸せだったな。

久しぶりに女の子扱いされた気分。

そっか…、私は女の子扱いされたかったんだ。









「その腕枕、私に甘やかせとか言われたから無理にやってる？」

けっこうこじらせてる私は、ついそんな言い方をしてしまう。

確かに甘やかされたいけど、嫌々とか無理してまではしてほしくないんだ。

わかんないかな、この微妙な乙女心。

「そんなことないけど。」

「嫌ならしなくていいよ。
渉も疲れてるだろうし。
最近の私、女の子扱いされてないなって思っただけ。
まあ…、渉にとって私は、もう女の子じゃないのかもしれないけど。」

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