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入院最後の夜、私達は意味もなくベビーベッドを覗きこんでいた。
ほら、やっぱり寝顔は渉そっくりじゃん。
生まれてきたばかりなのに、難しい顔をして眠ってるところとか。
「月曜日から、休みを取ることにしたから。」
渉は神妙な顔をして、そんなことを言い出した。
「有休?
今年はいっぱい休んでるけど、大丈夫?」
「A1人では無理だろ。
普通は里帰りで上げ膳据え膳で、寝て過ごさなきゃいけないのに。」
その言葉を聞いて、私は内心ホッとしてた。
正直、新生児の育児を甘く見てたから。
病院では、疲れたら赤ちゃんを預かってもらえるけど、退院したら1人でやらなきゃいけないんだと思ったら、怖くてずっと不安だったんだ。
「でも、いつまで?」
「1ヶ月。」
「1ヶ月も!?
そんなことしていいの?
クビにならない?」
「育休だから。
男でも取っていいらしいし。」
「今まで取った人いる?」
「1週間くらいはあったけど、1ヶ月は初めてらしい。」
そうだと思った!
男性で育休って、話には聞くけど、まだまだ普及してないもん。
「本当に大丈夫?
仕事に支障はない?」
「大丈夫だから。
実はだいぶ前から研究所にはお願いしてたし。」
さっきから渉は、ちっとも私の方を見てくれない。
こんなに会話してるのに、目線はずっと娘に注がれたまま。
「よく出来てるわ。
こんなに小さいのに、まつ毛も爪も綺麗に仕上がってる。」
そんなことを呟きながら、相変わらず娘を眺めてる渉のことを、私はじっと見つめてた。
ずいぶん遠くまで来たような気がする。
渉に出会ってなければ、私はどうなってたんだろう。
きっとあの大学には受かってないだろうし、全く違う人生を送っていたのかもしれない。
分岐点を一つでも間違って選んでたら、今のここにはたどりついてないと思う。
4年前の、高校生だった私が今の私を見たら、何て思うかな。
きっと驚くよね。
あんなに大好きだった横尾先生と結婚して、こうして赤ちゃんまで生まれてるわけだから。
本当に、…人生って何が起こるかわからない。
今見てる光景が、本当に現実なのか、自分でも不思議に思うんだ。
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りたわかめ(プロフ) - 俊哉の専属メイドさん» いつもありがとう♪長い間かかっちゃいましたwまた時間のある時にでも読んでやってください!今までありがとうございました! (2019年9月12日 8時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - Yukieさん» ありがとうございますm(_ _)m私自身、ごめんね通知送るよー的な申し訳ない気持ちで更新してたんですけど、喜んでもらえてたと知り、本当にうれしいです。今までありがとうございました! (2019年9月12日 8時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
俊哉の専属メイド(プロフ) - とうとう終わってしまったのね(;ω;)本当に更新お疲れ様でした!他の作品も読みたくなったから休みの日に読み返したいと思います!! (2019年9月12日 2時) (レス) id: 07640af2e5 (このIDを非表示/違反報告)
Yukie(プロフ) - 完結お疲れ様でした。通知が来る度に最初から読みたくなり何度も読ませていただきました。素敵な横尾さんでした。早速最初から読みたいと思います。素敵なお話をありがとうございました。 (2019年9月11日 23時) (レス) id: 69f70e9dfc (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - えみさん» 今まで読んでいただいてありがとうございました!私も学生時代に横尾先生に出会っていたら、死んでも離しません!!これからもいろいろ書いていくと思いますので、また読んでいただけたらうれしいですm(_ _)m (2019年9月11日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月14日 2時