ショコラアレルギー chapter10

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病院に着いたらすぐにストレッチャーに乗せられて、渉とは引き離されてしまう。

先生に、

「まだまだ、かかりそうかな…」

って言われた途端に、どっと痛みが増したような気がした。

こんなに痛いんだから、すぐ産まれるんじゃないの？

この痛みがまだまだ続くわけ？

「産まれるまでどれくらいかかりますか？」

泣きそうな声でそう聞いたら、

「うーん…、早ければお昼。
遅ければ今夜か、それとも明日か。」

そう答えられて、意識が遠のきかけた。









すぐに陣痛室に通された私は、お腹に検査の器具をつけられてベッドの上。

しばらくしたら渉が、心配そうな顔をして入ってきた。

「A、どう？」

渉の顔を見るなり、私はすぐに涙目になってしまう。

「まだまだ時間がかかるって。
この痛いの、いつまで続くの？」

だけど渉は黙って手を握ってくれるだけ。

陣痛はますます激しくなり、じっとしていられなくなっても、

「今、機械をつけてるから動いちゃダメだって。」

冷静に諭されてしまう。

わかってるよ、そんなの。

だけど、じっとしてられないんだって。









一睡もできないまま痛みと戦って、とうとう朝を迎えてしまう。

「…まだまだかかりそうだね。」

助産師さんにもそう言われて、更に痛みが増したような気がした。

「もうやだ。
やめて帰りたい。」

こんなこと言ってもどうにもならないのはわかってたけど、渉を目の前にするとついそんな泣き言も漏れてしまう。

なのに渉は真面目な顔で、陣痛の間隔を計りながら、

「陣痛が５分間隔になってるから、もうそろそろだと思うけど。」

って、真面目に返してくるのが腹が立つ。

こうなったら、八つ当たりしまくって当たり散らしたいところだけど、

痛みでそんな気力も出てこない。








「…喉乾いた。」

そう言っただけで、ストロー付きのお茶のペットボトルが出てくる。

「お茶は嫌だ。」

そんな不満を言っても渉の耳には届いてないみたいで、

届いた朝食をスプーンで親鳥のように口に運んでくる。

「食べたくない。」

「食えって。
出産には体力使うんだから。」

わかってるよ、そんなの。

だけど食べてる場合じゃないんだって。

妊娠・出産に関する本を読みこんでるからか、渉は教科書通りのことしか言わないから気に入らない。

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