検索窓
今日:9 hit、昨日:6 hit、合計:264,575 hit

358 ページ8

「ほんとに?
どんな服でも?」

そう言ったら、さっきまで小難しい顔をしてた先生は、少しずつ笑顔になっていく。

「俺の前だけでならな?」

「水着で過ごしてもいいわけ?」

「いいよ。
でもすぐに、俺に食われちゃうだろうけど。」

先生は笑いながら、私の手をゆるく握ってくる。

そういえば、今日は手とか繋いでなかったね。

「まあ、さっきの露出激しいドレス。
一回くらい試着させてみても良かったかもね。」

目が合うとニヤッと笑った先生は、

「ちょっと、寄り道でもするか。」

って、帰り道とは反対方向のホームに入って行った。









「水族館でも行く?」

「水族館?」

「デートっぽくない?」

ここんとこ、先生は週末のたびに私をどこかへ連れ出してくれるよね。

先週は野球観戦に連れて行ってくれたし、先々週は河原のコートで一緒にバスケットしたっけ。

それで今週は水族館?

先生、出来すぎてない?








少し電車を乗り継いだ先にある、駅前の水族館。

大きな水槽の中で泳ぐ魚を見ながら、先生が呟く。

「綺麗だけど…。
美味そう。」

そんな先生の言葉に私も笑っちゃうし。

でも私は大きな魚にはあまり興味がなくて、先生をお気に入りの水槽の前に連れだした。

「この魚が一番好きなんだよ、私。」

そう言ったら、先生はまた笑っちゃってるし。

「何これ。
チンアナゴ?」

「そう、ニシキアナゴも可愛いけど。」

「ふーん。
美味しくなさそう。」

って、先生の感想はさっきから食べることばっかりだよ?









深海魚の薄暗いコーナーで、タカアシガニの水槽を覗き込んでたら、

「あ!」

って、背後で誰かの大きな声がして。

反射的に2人で振り返った先には。

静と阿川先輩が立ってた。

静はあちゃーって顔で見てるし、阿川先輩はただ目を見開いて棒立ち状態。

しかも私と先生、手とか繋いでるしね。

「何?お前ら付き合ってたの?」

先に口を開いたのは先生の方。

静と阿川先輩は、あのゼミの夏合宿以来付き合うようになったんだけど。

先生には言ってなかったんだっけ。









「…せ、先生こそ!」

阿川先輩がようやく口を開くけど、思いっきり噛んじゃってるし。

「あー…、Aね。
俺の嫁。」

先生はやっぱり性懲りもなく、さらっとカミングアウトしちゃうから。

阿川先輩は相変わらず口を開けたまま。

359→←357



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (291 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
697人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

yanchahime3014(プロフ) - こんばんは。さっき、バニラドロップ読んでニヤニヤしてショコラ読んでキュンキュンしとります!!これからの展開も楽しみにしてます(*^-^*) (2017年7月8日 0時) (レス) id: 497c53e7cf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2017年2月25日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。