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「8日に帰れば?」

「えー…。」

私が不満を言えば、先生はこたつの隣で私の頭を引き寄せる。

「何事も早めに準備しないと。」

そんな小言を言ってくる先生の肩にコトリと頭を乗せたら、もうそれだけで離れたくなくなる。

「先生、寂しい?」

そう聞けば、

「…寂しいよ。」

って、珍しく素直に答えてくれた。

「Aがあっちに行ったら、もうこのこたつ、片づけちゃうかもね。」

「何で?」

「だって、毎日こんな風に並んでこたつに入ってたのに、急に1人になるとか…。」

それきり先生は黙り込んでしまうから、急に先生のことを抱き締めたくなった。

ぎゅーっと、隣から腰に腕を回して抱きしめれば、先生は条件反射で抱き返してくれる。

お互い何も言わないけど、言いたいことは同じだから。

離れたくない。

それだけ。









とうとう、3月31日がやってきた。

先生は明日からの準備で忙しそうで、私のことは全くかまってくれないけど、

私は久しぶりに忙しそうにしてる先生を見ているのが、とても楽しかった。

あんなにキリッとした仕事モードの目は、久々に見たような気がする。

最近の私達は本当に自由で、時間なんて全く気にせずに好きなことをして過ごしてきたから。

「明日から仕事モードに戻れる?」

さっきから忙しなく動いてる先生にそう問いかければ、

「Aこそ、俺は明日から仕事なんだから家事とかしっかりやれよ?」

なんて、こっちを向きもせずに答えてくる。

「家のことは先生がするって言ってなかった?」

「掃除はするけどね。
夕飯とかは作っといて。」









翌朝、仕事に行く先生を玄関先で見送る。

「いってらっしゃい。」

そう言って、手を振れば、

「行ってきます。」

って、こちらを振り返りもせずに出勤しようとする先生に、ちょっと腹が立った。

だから、

「行ってきますのキスは?」

とか、珍しくねだってみる。

絶対、先生はスルーするか、嫌味のひとつでも言うと思ってたのに、

あっさり振り返った先生は、本当に私にキスして、もう一度、

「行ってきます。」

を言ってから、そのままあっさりと出かけて行ってしまった。

…なんだろ、今の。

なんか私達、本当の新婚みたいじゃなかった?

今日からようやく、本当の新婚生活が始まったって感じ。









そして今日から本当に、先生は私の先生ではなくなった。

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yanchahime3014(プロフ) - こんばんは。さっき、バニラドロップ読んでニヤニヤしてショコラ読んでキュンキュンしとります!!これからの展開も楽しみにしてます(*^-^*) (2017年7月8日 0時) (レス) id: 497c53e7cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年2月25日 2時

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