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今度の家は襖を取り外したから、横長に広いワンルーム。

畳で換算すると、50畳くらいあるらしい。

たぶん…、旅館の宴会場くらいはあると思う。

横長の大広間の奥にはキッチンやバスルームとトイレ、そして隣に四畳半の小さな部屋がある。

「寝室はどこにする?」

って、先生は買ってきたお布団を広げながら、そんなことを聞いてくるけど。

そんなの決まってるじゃん。

だから、

「ここ。」

って、四畳半の部屋を指差した。









「こんな広い家なのに、何でこんな狭い部屋で寝ないといけないわけ?
普通、ここは物置だろ?」

「だってここなら襖で部屋を閉め切れるし、落ち着くよ?」

「…そうだけど。
わざわざこんな狭い部屋で寝るなんて。」

先生は乗り気じゃないみたいだけど、

「とりあえず試してみない?
しばらく寝てみて、どうしても気に入らなかったら他の所で寝ればいいし。」

そう言い包めて、四畳半にお布団を敷いてもらった。









四畳半の部屋には大広間へ続く襖と、キッチンヘ続く襖があって。

閉め切ってしまえば、小さな小さな秘密の部屋の出来上がり。

部屋の真ん中にお布団を敷けば、もうそれだけでいっぱいいっぱいになっちゃうけど。

先生は1人で先にお布団に入って、

「枕元にライトとかあったらいいかも。
あと、照明はリモコンで灯りが消せるヤツにした方がいいかもね。」

って、意外にこの寝室が気に入ってるみたい。

私もお布団に入ってみて思う。

なんだろう、このしっくり感。

だだっ広い部屋で生活してるからか、こんな狭い部屋に入ると妙に落ち着く。

それにこのセミダブルのお布団は、思ってたより広くなくて簡単に先生に密着出来るから私的に大満足。








「この部屋を寝室にしてよかったと思わない?」

「…何?言わせたいわけ?俺に。
Aの言うとおりにしてよかったって。」

「そう。
先生は私の言うことも聞くべきだよ。」

「いつも聞いてんじゃん。」

先生はそう言いながらいつものように腕枕をしてくれるから、尚更この部屋の居心地がよくなった。

「まあ…、ここなら、こんなことをしても誰にも見られないしね。」

そう言って先生は、ゆっくりと私を引き寄せてキスをした。

真っ暗で静かな部屋の中で、シーツの擦れる音がやけに大きく聞こえて。

誰にも見られない小さなこの部屋は、今夜から私達の秘密の場所になった。

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yanchahime3014(プロフ) - こんばんは。さっき、バニラドロップ読んでニヤニヤしてショコラ読んでキュンキュンしとります!!これからの展開も楽しみにしてます(*^-^*) (2017年7月8日 0時) (レス) id: 497c53e7cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年2月25日 2時

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