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タクシーで部屋に帰ってくると、先生は振袖の入っていた袋を部屋の真ん中に広げて、私に詰め寄ってくる。

「まずは帯か…。」

って、難しい顔をしながら、背中に回って帯を解きにかかった。

時々、ネットを見て確認しながら、先生は器用に帯を解いていく。

解いた帯を丁寧に畳んで、次はいろいろ付いてた附属品を外していく。

「って言うか、帯多すぎない?
何本巻かれてるわけ?」

とか言いながら、先生は楽しそうに私の着物を剥がすように分解していく。

「うわ…、何枚着てんの?これ。
いちいち畳むのも大変なんだけど。」

「先生、着物畳めるの?」

「これ、適当に畳んでいいんだって。
クリーニングに出すからって。」

そっか。

昨日、着物を借りに行った時にそんなこと言われてたっけ。









先生は全部私から振袖を脱がして、綺麗に畳んで袋に片付けて行った。

「風呂入って来い。
食事の支度しとくから。」

身ぐるみ剥がされた私は、バスルームに押し込まれてしまう。

なんか、今日の先生ってお母さんみたいじゃん。

普通、振袖を着てる女の子を相手に、あんなに事務的に脱がしちゃったりする?

でも朝から美容院や会場の送迎とか、まるで親代わりみたいに働いてくれたよね。

正直、本当はうれしかったんだ。









お風呂から出て来たら、テーブルには本当にごちそうが並んでた。

「赤飯?!」

「だって、おめでたい日なんじゃないの?」

それに伊勢海老のバター焼き、蛤のお吸い物、私の大好きなサーモンのお刺身だって。

「これ全部先生が作ったの?」

「まあね。
あと、これ。」

そう言って先生がテーブルに出してきたのは、ワインボトル。

「白ワイン。
ほんとは日本酒にしようと思ったんだけど、Aにはまだ早いかなと思って。」

「飲んでいいの?」

「今日はお祝いの日だしね。
それにAを酔わせると面白いから。」

…それって、この間私が、初めてお酒を飲んだあの夜のことを言ってるんだよね。

あの日の夜はなんか変な感じになったし、二日酔いも大変だったけど、

本当は私も、またあんな感じを味わってみたいなとか秘かに思ってたんだ。

だから先生に勧められるままに、白ワインを飲んでたら、この間みたいにふわふわした感じになってきた。

「…あ、この間と同じような感じになってきたかも。」

そのまま先生の肩にもたれかかれば、

「飲み過ぎなんだって。」

先生は渋い顔をして、私からグラスを取り上げた。

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yanchahime3014(プロフ) - こんばんは。さっき、バニラドロップ読んでニヤニヤしてショコラ読んでキュンキュンしとります!!これからの展開も楽しみにしてます(*^-^*) (2017年7月8日 0時) (レス) id: 497c53e7cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年2月25日 2時

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