検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:264,570 hit

372 ページ22

「いつ結婚したの?」

「…去年の3月?」

「何で結婚?
まさか、子供ができたからとか?」

「んなわけないじゃん。」

とにかく友達の質問攻めは激しくて、ありとあらゆることを聞きだされてしまった。

「でも私が結婚してるってことは、ここだけの内緒にしてほしいんだ。」

「何で?」

「先生ね、うちの大学の教員だから。
今年の3月までなんだけど。」

「じゃあ秘密の結婚なの?」

秘密の結婚って!

でもなんか素敵な響き。









「でも4月からは関西の考古学研究所に移っちゃうんだけどね。」

「じゃあAもついて行くの?関西に。」

「私は大学があるから残る。」

その答えにみんなは、ざわざわと騒がしくなる。

「新婚早々、単身赴任とかありなの?」

「浮気とかされちゃうんじゃない?」

20代になったばかりの友達の反応は、やっぱりそんな感じで。

想像もつかないよね、まだ。

結婚とか、離れて暮らすとか、そういうの。








夕方を過ぎた頃、

「あ、男子からみんなで飲みに行こうってLINE来たけど。」

そう言って友達がチラリと私を窺い見てくる。

「私は帰るね。」

すぐに先生に、[今から帰る]ってメールを送れば、

[タクシーで迎えに行くから、着いたらメールする]って、返事が来た。

「旦那さんが迎えに来てくれるんだよね?
見に行っていい?」

って友達ははしゃぎ出す。









[着いたよ]

10分後くらいに先生から連絡が入って、みんなで慌てて下に降りて行った。

振袖の女の子のグループが店の外に出てきたのを見て、先生は微かに驚いてたけど、

「いつもAがお世話になってます。」

なんて大人な笑顔で言うから、友達もみんなテンパっちゃって次々と頭を下げる。

「じゃあ、またね。」

友達に手を振れば、みんな緊張気味に手を振り返してくれて見送ってくれた。

タクシーの中、

「びっくりしたわ、振袖軍団が出てきたから。」

先生がそんなことを言ってる横で、地元の友達のグループLINEが頻繁に鳴り始める。

[ほんとにあの人がAの旦那さんなの?]

[モデルみたいじゃない?]

[本当に学校の先生なの?
全然そんな感じしなかった]

そのLINEを先生に見せれば、苦笑いでスルーされた。

「先生、どこか寄ってく?」

先生の腕に自分の腕を絡ませれば、

「振袖着たまま?」

とか無愛想な返事をした後で、

「家でごちそう準備してるから。」

なんて、まるで神業みたいなツンデレをかましてきた。

373→←371



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (291 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
697人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

yanchahime3014(プロフ) - こんばんは。さっき、バニラドロップ読んでニヤニヤしてショコラ読んでキュンキュンしとります!!これからの展開も楽しみにしてます(*^-^*) (2017年7月8日 0時) (レス) id: 497c53e7cf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2017年2月25日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。