ショコラアレルギー chapter８ (ページ12)

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藤ヶ谷さんにそう誘われて、心がグラグラ揺れまくってたら、

「Aは二次会行けないんだよな？
遠くから来てるから。」

って、いきなり背後から言われて、

振り返ったら、いつの間にかこっちを向いてる先生の姿。

さっき見た時は誰かと話してたのに。

先生って意外と地獄耳じゃん。

「そうなの？残念。」

って、藤ヶ谷さん達が諦めた途端に、先生はすっと前を向いてしまう。

そんなに私を二次会に行かせたくない？

宣言通り、披露宴が終わってすぐに先生は私を連れて帰ってしまう。

帰りの電車の中、

「二次会に行ってみたかったなー…。」

なんて、先生に聞こえるように独り言なんかを言ってみたりする。

だけど先生はさっきから本を広げて、完全無視を決め込んでいる。

「二次会ってどんな感じなんだろう。
お酒とか飲めるのかなー。」

そう言ったらさすがに、

「そんなにお酒が飲みたい？」

なんて、先生の呆れ声が返ってきた。

「飲みたいに決まってるじゃん。
飲んだことないのに。」

「…今度飲ませてやるから。」

「今度っていつ？」

「近いうち。」

先生の、「今度」とか「また」とかって、けっこうあてにならないんだよね。

「どうだった？北山の結婚式。」

「うん、楽しかったねー。
なんかお祭りみたいな、同窓会みたいな感じ？」

「Aもああいうのがよかった？
結婚式。」

先生にそう聞かれて、しばらく考え込む。

確かに楽しかったけど。

私達には合ってないかな？

まず、先生がああいう雰囲気に我慢できないと思うけど。

「私は、２人きりの方がよかったかな。」

みんなに祝福してもらうのもうれしいけど、先生と２人きりっていうのが私的にはよかったから。

でもそんなことを聞いてくる先生が、今すぐこの場で抱きしめたくなるくらい愛しく思えるんだ。

「いい結婚式だったね。」

そう言っても、先生からは安定の応答なし。

この結婚式が終わったら、先生の研究所行きの準備もそろそろ本格化するわけで。

そう思ったら、少し憂鬱な気分になる。

なのに先生は、

「そろそろ、忙しくなるな。」

なんて現実的なことを言ってくる。

「とりあえずあの部屋を大掃除して。
年末年始はAの実家に帰省して。
年が明けたら試験があるし。」

…あー、そっち系？

まあ、年末だしね。

「試験が終わったら、部屋探しに行くか。」

…って、やっぱり先生の脳内は、もうそっちに飛んじゃってるよね。