ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ chapter 2

58 ページ8

栞さんって、多分、玉森先輩の彼女だよね？

偶然会ったのかな…。

それとも、待ち合わせてた？

どうしよう…。

携帯を握りしめて悩んでるうちに、もう玉森先輩達は見えなくなっていた。

これは…。

帰った方がいいんだろうな。

って、駅へ続く道を歩く。

駅への道は、行く人と帰る人が交差して、さっきと同じくらい混んでる。





何だったんだろ。

さっきまで私と一緒にいた先輩が、今はものすごく遠い存在の人に思えた。

とりあえず帰る連絡だけはしとこうと思って、ＬＩＮＥを開く。

先輩からは何もメッセージも来てない。

[迷子になったので、先に帰りますね。]

これなら、誰も気分悪くならないよね。

先輩も栞さんといたいだろうし。

「はぁ…。」

って、深いため息をつく。

やっぱり先輩と関わりあうと、ろくなことがない。





なんとか電車に乗って、最寄り駅に着いた。

最寄り駅近くの店はコンビニしか開いてなくて、寄ろうかなって思ったけど。

…やめた。

早く家に帰りたいなー。

ベッドに潜り込んで、ふて寝しちゃいたい。

で、一晩寝て、忘れることにする。





マンションに着いて、鞄の中をずっと探してるんだけど。

…鍵がない！！！！

あれ？

鍵、どうしたっけ？

出掛ける時のことを思い出してみる。

あ…、先輩が鍵かけてた…。

どうしよう、多分、先輩が鍵持ってるよ。

先輩に連絡をとろうと、携帯を取り出したら…、電池切れ。

とりあえず、充電しないと！

コンビニに、電池で充電できる充電器が売ってたかも。

半泣きになりながら、今来た道を戻る。

先輩は今きっと、デート中だよ。

そんな中、呼び出したらキレられちゃうんだろうな。

どうしよう。

でも、家に入れないのは困るよ…。

うちのマンションは管理人さんもいないし、元旦だし。

電源の切れた携帯を握りしめ、早足で歩いてると。

なんだか、本当に涙が出てくる。

元旦から何やってんだろ…。

一年の計は元旦にありっていうよね。

今年はこういう年になるのかな…。






泣いてるのを誰にも見られたくないから、下を向いて歩く。

時々、涙がこぼれて、アスファルトに落ちる。

最悪な元旦。

コンビニのの近くに来た時に、ずっと下を向いて歩いてたからか、誰かにぶつかった。

「…ごめんなさい。」

そう謝って、横をすり抜けようとしたら、いきなり手首を掴まれた。

59→←57

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す