ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ chapter 2

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隣から先輩の横顔を見上げてみる。

先輩はいつも通り、至って普通。

私は…。

なんだか、緊張してきた。

いつもみたいに話しかけられない自分がいた。

しばらく黙ったままでいたら、

「何？手を繋いだ途端、おとなしくなるんだ？」

って、からかうように言われるから、手を離そうとするけど、

更に強く握られて、離せない。

「はぐれたら困るじゃん。」

先輩は簡単に女の子の手を握って、自分のポケットに入れちゃうんだね。

そう聞きたいけど。

なんか聞けない。

もし聞いたら、手を離されてしまうかもしれないじゃん。

あれ？

私、手を離してほしくないのかな？





並んでる間、先輩はいろいろ話しかけてくるけど。

私は今までみたいに、普通に返せない。

むしろ、先輩に腹が立ってきたりする。

妹みたいな後輩女子の、プライベートにするっと入り込んで来て、イベントを一緒に過ごしたり、泊まってみたり。

もしかして私、甘く見られてる？

なんでも言いなりになるチョロいヤツって思われてる？

…なんだか、腹立ってきた。

また手を離そうとしてみるけど、すぐに気付かれて、また強く握り直される。

「嫌なの？」

って、先輩が、聞いてくるから、

うまく答えられない。

手の力が弱まって、今度は緩く握られる。

「嫌なら、離せば？」

拗ねたような声が聞こえてきて、先輩の顔を見ると、

ちょっと不機嫌。

だから、そっとポケットから手を引き抜こうとするけど、やっぱりギリギリで捕まれる。

「もう！」

って、抗議の声をあげたら、笑われてしまった。

「いいじゃん。
つないどこ。」

って、またいつも通りの先輩は、私の手を握り直した。





私の手が解放されたのは、お賽銭箱の前にたどり着いた時だった。

お賽銭は、先輩が１００円玉をくれたから、それを入れる。

『…今年こそ、幸せになれますように。』

そうお願いして、その場を去ろうとしたら、

…また、はぐれたし！！！

今度はさすがに、先輩も探しに来てくれない。

ちょっと列から離れて先輩を探すけど、見つからなくて。

もうお詣りも終わっちゃったしいいのかな…とか、ネガティブな思考がチラリと浮かぶ。

先輩とはぐれてから、あっという間に１０分くらいが経って。

携帯を見ても、先輩からの連絡はない。

途方に暮れていたら、お詣りの行列の向こうに見え隠れする先輩の姿を見つけた。

でも先輩の隣には栞さんがいて、２人で何か話してるのが見えた。

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