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「Aは会いたくなかった?俺に。」

キスの後、そのまま胸に引き寄せられて、先輩の指は私の髪を撫でる。

「…そんなことないよ。」

「俺、けっこう毎日会いたかったの我慢してたんだけど、これでも。
ケーキとか買ってきたり、そんなきっかけでもないと、Aの部屋、来ちゃいけないのかなー、って。」

先輩は、そんな風に思ってたんだ。

全然気づかなかった。

ただ、自分の気まぐれで、この部屋に来たり、来なかったりしてるんだとばかり思ってた。





「まあ、俺の方が今はAのことが好きなんだと思う。
仕方ないけどね。
でも、Aからも、もっと近寄ってきて。
俺のこと好きになってよ。」

こんな言葉を先輩から聞くことになるなんて。

思いもしなかった。

でも内心、

『…告白の時、渋っといてよかった。』

なんて思ってる、ちょっと悪魔な私もいたりする。

じゃないと、全部先輩主導になっちゃって、私はいいように振り回されるもん。






「今日、泊まってっていい?」

いつもなら、そんなこと聞かないのに、今日の先輩は可愛い。

私がいつまでも返事をしないから、

「…もう、終電ないし。」

って、髪を撫でる手を止める。

「A?」

私の顔を覗きこもうとするから、私も起き上がる。

先輩は私の前にきちんと正座すると、

「泊めて?」

って、可愛く聞いてくる。

まだ何も答えなかったら、

「なんもしないから。
…今日は。」

「今日は?」

「今日も。
でも、この先はわかんない。」

正直だな、先輩は。

「…いいよ。」

「じゃ、シャワー借りるね。」

って、私がOKするのをわかってたように、バスルームに向かう先輩。

そういうとこが、先輩らしい。






バスルームから出てきた先輩は、パーカーとハーフパンツのセットアップの部屋着を着てて、

「先輩、その服…。」

「今日はAん家に泊まりたかったから、こっそり持ってきた。
これ、置いといていい?」

さすが先輩、安定のあざとさ。

ベッドに入るけど、当然のようにベッドに入ってくるし。

「先輩はこたつで寝るんじゃなかったっけ?」

なんて、意地悪を言ったら、

後ろからぎゅうっっって、締め付けるみたいに抱きしめてくるから、

「苦しいって!」

って、身をよじったら、

「もう、生意気なこと言わない?」

耳元で甘く囁かれる。

声に出さずに、高速で頷く。

「じゃあ、これからは俺の言うこときく?」

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りた(プロフ) - 奈美恵さん» コメントありがとうございます(*'ω'*)いつも移動中とかにまとめて書いてるので、すこぶる元気です(*'ω'*)またよろしかったら読んでやってください(*'ω'*) (2015年10月27日 9時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - にこさん» 貴重なご意見ありがとうございます。今はまだ、もうしばらく様子を見てくださいとしか言えませんが、またよろしくかったら読んでやってくださいね(*'ω'*) (2015年10月27日 9時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
奈美恵 - りたさんの小説が大好きです^_^いつも更新楽しみにしてます(≧∇≦)お体を大切に無理をしない程度で頑張ってください( ̄▽ ̄)応援してます!! (2015年10月26日 23時) (レス) id: 3060edf861 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - 他のリンクしている玉森さんの言動と本編があまりにも違うので戸惑っています。これから解明されてくるのでしょうか?主人公ちゃんに共鳴してるので。 玉さんはあまりにも奔放で罪です。 (2015年10月26日 23時) (レス) id: d2f5284ef0 (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - にこさん» どうやら幻聴だったようです(/ω\)本当に申し訳ごさいません(/ω\) (2015年10月26日 22時) (レス) id: 421e8ef0d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2015年10月2日 12時

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