溺愛フランボワーズ chapter 5

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なのに、俺とAはまた、ちょっとした言い合い中。

今回は、塾のバイト問題。

最近俺らのバイトのシフトが、故意に別々にされるようになって。

まあそれは、俺がAのバイトが終わる時間に迎えに行けばいい話なんだけど。

最近、塾の生徒が帰り道に痴漢に遭遇したらしく。

一応、保護者には送迎をお願いしたものの、中には送迎できない保護者もいたりして。

「生徒とその保護者はお客様です」が口癖の、最近やってきた塾長が、バイトの講師に生徒の送迎を命じるようになった。

しかも無償で。

俺的には別にいいんだけどさ、生徒も心配だし。

でも、Aや他の女子講師まで、送迎に行かせるのが気に食わなくて。

塾長に抗議に行ったけど、あっちもなかなか頑なで折れてくれないから。

Aを辞めさせようと思ってんのに、Aは何故か、

「平気だって。
防犯ブザー買ったし。」

とかのん気なことを言ってくるのがまた、気に食わない。

俺だって、迎えに行けない日だってあるしね。







「別にバイトしなくたってよくない？
Aはお金に困ってるわけじゃないんだから。」

そう言ってるのに、Aはむくれ顔で、

「バイト楽しいし、辞めたくないんだって。
なのに何で、たいちゃんは辞めろとか言うの？」

って、口答えばっか。

「Aが生徒を送迎してて、何かあったらどうするわけ？
心配で仕方ないんだけど。」

「大丈夫だって。」

だから、何の根拠があって大丈夫とか言えるわけ？

その能天気さか、ますます俺を苛立たせた。

「生徒と一緒にいる時に痴漢に遭遇したら、A、生徒を守れんの？」

そう言った途端に、Aの表情がムッとしたように歪む。

｢じゃあ、生徒を１人で返せって言うの？｣

なんて言い返してくるけどさ、俺の質問には答えてないからね？

生徒を守れないのに、一緒にいるのって意味ある？

共倒れだって。







その日は珍しく、俺達は口も聞かないまま。

まず、俺らがケンカすること自体が珍しいから。

でもなんか、今日だけは我慢できなかった。

だけど深夜になって、何も言わずにベッドに潜り込んで、明かりを消したら。

しばらくしてから、Aもそーっと、ベッドに入ってくる。

｢さっきはごめんね。
たいちゃんの言う通りにするから。｣

って、急に素直になって俺の背中に頬を寄せてくるA。

あんなに腹を立ててたのに、

その行為だけで、一瞬で怒りが飛んでいってしまう俺も相当、イカレてる。

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