検索窓
今日:16 hit、昨日:4 hit、合計:353,397 hit

243 ページ43

出発してから3日目。

海沿いの道から外れて、山側に入った。

「うちのおばあちゃんの家が、この辺りにあるんだよ。」

信号待ちで不意にAはそう言って、ナビをいじり始める。

「行きたいの?おばあちゃん家。」

「ここ数年行ってないから、近くまで行ってみたい。」

「いいよ、行っても。
おばあちゃんにも会いに行けば?」

「うーん…。
もうおばあちゃんは、住んでないけどね。
おじさんの家で一緒に住むようになったから、家には誰も住んでないんだ。」

Aの打ち込んだ場所は、ここから車で1時間ほど。

「勝手に行っていいわけ?」

「だってもう誰も住んでないもん。」









1時間ほど山道をぐるぐると回りながらたどり着いたのは、古い民家が10軒ほどある山と山に挟まれた小さな集落だった。

そこの一番奥の家がAのおばあちゃんの家らしい。

かなり古い平屋の家で、蔵があったり、離れっぽい建物があったり、なかなか風情のある感じ。

「すごいでしょ?
多分、築100年近くは経ってると思う。」

なんて得意げに言いながら、Aは裏口の鉢植えの中に隠してあった鍵を取り出しては、慣れた感じで裏口から入ってしまう。

閉め切った雨戸を開放すれば、真っ暗だった家の中が一気に明るくなった。

「この家、近所の親戚がたまに使ってるから、電気も水もガスも全部使えるんだよ。
今夜はここに泊まらない?」

Aは笑顔でそんなことを聞いてくるけど正直、返事に困る。

俺も一瞬、こういう所に泊まるのも悪くないな、とは思ったけど。

でも本当に泊まっちゃうわけ?









すっかり泊まる気満々のAは、押し入れから布団を引っ張り出してきては、

「干しちゃおう。
たいちゃん、手伝って。」

って、1人で忙しそう。

家の中を軽く掃除して、ふと気付く。

「A、夕食とかどうするわけ?」

「買いに行く?
車で少し行った先にスーパーがあったはず。」

Aの言う通りに車を走らせれば、スーパーと呼んでいいのかわからないくらいの小さな店があった。

そこで食材を買い込んで、2人で台所に立つ。

今日のメニューはカレーライス。

並んでキッチンに立ったら、古い家だから動く度に床が軋んで音を立てるのが面白くて、2人でずっと笑ってた。

なんだか楽しい春休み。

まさか、この家に何日も滞在することになるとは、この時は思ってもみなかったけど。

244→←242



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (416 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1388人がお気に入り
設定タグ:キスマイ , Kis-My-Ft2 , 藤ヶ谷太輔   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

りたわかめ(プロフ) - ひツじさん» こんにちは。実はリンクが外れてまして、この話は続きがあって、もう完結しています。リンクを貼り直しておきましたので、また読んでやってください♪ (2021年3月1日 17時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ひツじ(プロフ) - 更新待ってます。 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 5c2b66150e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 玲さん» 長いこと返信できずに申し訳ないです。しばらく更新できなかったので、ようやくお返事できます♪続きの展開、お気に召していただけたらとてもうれしいです(*'ω'*) (2018年3月3日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 待ってましたー!!!ものすっごく嬉しいです!フランボワーズの藤ヶ谷さんが大好きなのでもう本当嬉しいです。しかもこの続きの展開に期待が(//▽//) (2018年1月2日 10時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめ | 作成日時:2016年12月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。