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3日目の宿は、海沿いの民宿。

Aに宿を選ばせると、いろいろ回りくどいから、今夜は俺が選んだ。

早めにチェックインして、民宿の前のビーチで少し遊んで。

夕日を見ながら、いろんな話をした。

でもAは、4月からの生活については全く触れてこない。

きっと、怖いんだと思う。

多分、今のまま一緒に暮らすことは難しいだろうし。

4月からは社会人と学生という違う立場になった俺らが、うまく付き合っていけるかどうかも不安なんだろう。









民宿で魚介メインの夕食を戴いたら、Aは部屋に敷かれた布団に寝転がったまま、

「もう、動けない。」

とかって、ぐったりと瞼を閉じてしまった。

食べ過ぎだって。

Aがごはんのお代わりとかしてるとこ、初めて見たわ。

「ほら、起きろって。
温泉に行くんじゃなかったっけ?」

そう促せば、目を閉じたまま俺に向かって両手を差し出してくる。

「起こして。」

って、今にも寝ちゃいそうな声で。

「今日の民宿のお客さん、俺らだけだから、
温泉、貸し切りにしていいって。」

耳元でそう囁けば、慌ててパチッと瞼を開くくせに。









「使用中」の札をドアの前に置いて、温泉に入る。

Aは何故か自意識過剰気味に、脱衣所の隅でじっと俺の動向を窺ってる。

…可愛い。

まあ、貸し切り温泉ではいろいろと、過去に悪さしちゃったからね。

さすがにこんな狭い民宿で、そんなことできないって。

さっき廊下を歩いてる時だって、普通にどこかの部屋から話し声とか聞こえてきてたし。

たぶん俺らの部屋も音漏れしちゃってそうな雰囲気。

今日は珍しくAの方が先に温泉に入ってて、後から入って来た俺を警戒心たっぷりに見張ってる。

「何もしないって。」

苦笑いでそう言っても、Aは湯船の端っこで警戒中。

そんなに警戒されたら、俺の性格上、何もする気がなくても何かしたくなっちゃうんだけど。

Aは俺のそういう黒い部分、知ってるはずじゃん。









思いっきり背中を向けてるAの隣にわざと移動すれば、Aはすぐに距離を置いてくる。

「…怖い?」

わざと低い声で聞けば、Aは更に距離を取るから、それが面白くてますます追い詰めてみる。

ほら、奥の角まで追い詰められちゃったよ?

これからどうすんの?

「この民宿、声、筒抜けみたいだから。
今夜は控えめにね。」

耳元でそう囁けば、あーあ、涙目になっちゃった。

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設定タグ:キスマイ , Kis-My-Ft2 , 藤ヶ谷太輔   
作品ジャンル:タレント
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りたわかめ(プロフ) - ひツじさん» こんにちは。実はリンクが外れてまして、この話は続きがあって、もう完結しています。リンクを貼り直しておきましたので、また読んでやってください♪ (2021年3月1日 17時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ひツじ(プロフ) - 更新待ってます。 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 5c2b66150e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 玲さん» 長いこと返信できずに申し訳ないです。しばらく更新できなかったので、ようやくお返事できます♪続きの展開、お気に召していただけたらとてもうれしいです(*'ω'*) (2018年3月3日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 待ってましたー!!!ものすっごく嬉しいです!フランボワーズの藤ヶ谷さんが大好きなのでもう本当嬉しいです。しかもこの続きの展開に期待が(//▽//) (2018年1月2日 10時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年12月21日 23時

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