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早朝に実家に車を借りに行けば、Aはまたよそ行きのいい子を演じ始めるから、

早々に車を借りて実家を後にする。

車に乗り込んだ途端、Aは助手席にぐったりと体を沈みこませて安堵の溜息をつく。

「Aさー、もういい子を演じるの、やめたら?」

「やだ。
たいちゃんの家族に嫌われたくないから。」

「多分もう、うちの親も気付いてると思うよ。
Aが無理してるって。
それに、いい子ぶってるAよりも素のAの方が気に入ると思うけどね、うちの親は。」

だけどAは唇を尖らせて、窓の方を向いてしまう。

都合が悪くなったら、すぐこれだし。









「で、今日はどっちに向かうわけ?」

「南。」

「南?」

「そう、あったかい場所。」

「この場所から南だったら、海に突き当たって終わりだけど。」

そう言ったら、Aはぶすっとして、

「じゃあとりあえず西に向かって。
それから南。」

って偉そうに答えた。

2月だから、まあ行き当たりばったりでどこに行っても、宿は空いてそうだけど。









途中で安いセミダブルの布団セットを買って、トランクに詰め込んだ。

「これでもし、ホテルがない場所でも座席を倒してお布団が敷けちゃうね。」

って、助手席のAはとっくに機嫌を直して、鼻歌まじりで窓の外の景色を眺めてる。

Aはただ純粋に楽しんでるだけなのかもしれないけど、俺はもっと違う気持ちなんだけど。

こんな風に自由に2人で当てもない旅行なんかできるのは、これで最後なのかもしれないなって。

4月から社会人になる俺は、こんな長い休みも取れないだろうし。

あんまり助手席にいるAが楽しそうだから、意地悪な言葉の一つでも言ってやりたくなる。

だけど、

「私、こんなに楽しい旅行は初めて。
たいちゃん、ありがとう。」

って、目をキラキラさせて言ってくるから、今回だけは見逃してあげようかな。









「高速は乗らないで。
寄り道ができないし、お金がもったいないし。
それに、景色が全然楽しくないから。」

って言うAの希望で、普通道をのんびりとドライブ。

たまに急にAが、

「あ!ここ右に曲がって。」

とか、急に指示を出してきて、気になる場所に立ち寄ったりするのもなかなか楽しくて。

そして夕方に立ち寄った海で、寒いのに砂浜に座り込んで2人でずっと夕日が沈むのを眺めていた。

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設定タグ:キスマイ , Kis-My-Ft2 , 藤ヶ谷太輔   
作品ジャンル:タレント
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りたわかめ(プロフ) - ひツじさん» こんにちは。実はリンクが外れてまして、この話は続きがあって、もう完結しています。リンクを貼り直しておきましたので、また読んでやってください♪ (2021年3月1日 17時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ひツじ(プロフ) - 更新待ってます。 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 5c2b66150e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 玲さん» 長いこと返信できずに申し訳ないです。しばらく更新できなかったので、ようやくお返事できます♪続きの展開、お気に召していただけたらとてもうれしいです(*'ω'*) (2018年3月3日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 待ってましたー!!!ものすっごく嬉しいです!フランボワーズの藤ヶ谷さんが大好きなのでもう本当嬉しいです。しかもこの続きの展開に期待が(//▽//) (2018年1月2日 10時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年12月21日 23時

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