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突然、個室化するようにきっちり閉められてたカーテンが開けられて、看護師さんが顔を覗かせた。

「あれ?彼女が来てくれてるんだー?
二階堂さんは幸せ者ですね。」

「…彼女じゃないから。」

力なく否定する二階堂くんの声をかき消すみたいに明るい声で、

「またまたー。」

なんて言いながら、手早く点滴を交換していく。

「明日もう一度検査をして、経過がいいようなら退院できるそうですよ。
よかったですねー。」

なんて言われて、複雑な表情をした二階堂くんは、それきりまた布団に潜り込んでしまった。









再び締め切られたカーテンの中、寝たふりを続ける二階堂くんに話しかける。

「退院したら、うちに来なよ。
退院しても1週間は自宅静養って言ってたし。」

それでも返事はない。

「入院費用なら、心配しなくていいよ。
貸してあげるし。」

その言葉にも無反応。

困ったひねくれ者だよ、二階堂くんは。

だけどそのすぐ後、またカーテンが開けられて、

「高嗣!?」

って、誰かがすごい勢いで中に入ってきた。

多分この人は…、二階堂くんのお母さん!?

「病院から連絡もらって飛んできたよ。
入院してるなら、早く言いなさい!」

いきなりそうまくしたてると、私の存在に気付いて固まってしまうお母さん。

「…どなた?」

ようやく布団から顔を出した二階堂くんは、

「…大学の友達。」

とボソッと告げると、また布団に潜り込んでしまった。

これは…、私はいちゃいけない感じだよね?

「じゃあ、私はこれで。」

深く頭を下げて、病室を後にした。

お母さんが来てくれたのなら、もう安心だよね。









一晩明けて月曜日の今日は、二階堂くんの退院の日。

きっとお母さんが来てくれたなら、実家で静養することになるはず。

これを機会に、実家との確執が解けたらいいね。

…そう思ってたのに、

午後からの授業にいきなり二階堂くんが現れた。

「何してんの!?」

思わず大声を出してしまった私を無視して、しれっと隣に座ってきては、

「大きな声出すなって。」

とかって、しかめっ面。

「退院したばっかでしょ?」

「…だってこの授業、欠席うるさいし。」

そう言いながら、手早く鞄からテキストやファイルを取り出していく。

「お母さんは?」

「帰った。」

「実家で静養しないの?」

「しない。」








「もう熱は下がったの?」

そう聞いても無視してくるもんだから、そのまま強引におでこに手のひらを重ねてみた。

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わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω\)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー!にかちゃんどうするんだろ?ラブラブになれるかなー?!ドキドキがとまりません!! (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい! (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年3月21日 4時

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