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「入る?風呂。」

眠そうな声でそう聞いてくるから、

「私はもう2回も入ったからいいよ。」

そう断ったのに。

「温泉の時間は23時までだから、もうお客さんはいないよ。」

「従業員さんが入ってるんじゃないの?」

「もう0時過ぎてるから清掃も終わってるし、貸し切りだと思う。
それに、実は中から鍵がかけられるし。」

「お父さんお母さんは?」

「家に帰ってる。」

「家?
家はここじゃないの?」

「この裏手に家がある。
でも寝に帰ってるだけって感じ?
普段はうちの親はここにいるから、だからここに来ただけ。
なのにAはお客さん状態で寛いでるし。」

うん、寛いでた。

温泉旅館とか、長いこと行ってなかったからつい、満喫しちゃってたけど。

まさかその裏で、二階堂くんと私の結婚話まで出てたとは…。









二階堂くんの案内で、何故か男湯に連れてきてもらったけど。

なんで男湯!?

「女湯とは雰囲気が違うから、驚くよ?きっと。」

確かに昼間に入った女湯は露天風呂からは竹林が見えて、確かにいい雰囲気だったけど。

バスタオルを巻いたままお湯に浸かれば、二階堂くんはあからさまに眉間に皺を寄せる。

「あのさー…、タオルはお湯に入れたらダメなんだけど。」

「知ってるよ。
でも男湯だし、誰か入ってきたらどうすんの?」

「ちゃんと鍵かけたって。」

お湯をかき分けるようにして、二階堂くんが近づいてくるから、

私は更に移動して距離を置いた。

なのに、二階堂くんは更に距離を詰めてくる。








「何でそんなに近づいてくるの?
こんなに広いのに。」

「せっかく2人で入ってんのに、寂しくない?」

なんて言いながらも、目が笑っちゃってんじゃん。

どうせ、いやらしいことを考えてるに違いない。

これは先手を打っておかないと。

「今日はダメだよ。」

「は…?何の話?」

ってほら、思いっきりニヤけちゃってんじゃん。

ぴとっと二の腕がくっつくくらいの距離に来ては、お湯の中で漂ってる私の手を握ってくる。

「何もしないって。」

…信憑性ないよ?その言い方。

二階堂くんの実家で変なことされたら、もう二度とここには来れないか、

もしくは、なし崩し的に結婚に持っていかれそうな、そんな気がして怖いから。

「A、この間話したこと覚えてる?」

二階堂くんはそう言うと、ぎゅっと私の手を握り直した。

「何?」

「…結婚の話。」

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わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω\)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー!にかちゃんどうするんだろ?ラブラブになれるかなー?!ドキドキがとまりません!! (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい! (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年3月21日 4時

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