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想像以上だった…。

二階堂くんの実家の旅館の佇まいは。

明治時代に建てられたその旅館は、そこに建っているだけで威圧感を醸し出してくるような荘厳さ。

…油断してた。

もっとフランクに行けると思ってたんだ。

でもこんな荘厳な家に住んでるお父さんはきっと、相当にいかめしい感じなんだろうな。









「じゃあ私、ここで待ってるね。」

家の前で繋いでた手を離したら、何故か二階堂くんは逃がさないとばかりに繋ぎ直してくる。

「…は?一緒に来てくれるんじゃないの?」

「行かないよ。」

「とにかく、Aも連れて行くって連絡してあるから。」

って、繋いだ手をぐいぐいと引いて、敷地の中に入って行く。

…待って!

関係のない私が、どんな顔して二階堂くんのご両親に会えばいいわけ?









日本庭園を抜けた先には広い玄関があり、そこには二階堂くんのごお母さんが既に待ち構えていた。

「奥の部屋でお父さんが待ってるから。」

お母さんはそう言うと私に会釈をしてくれたから、私も慌てて深く頭を下げる。

…いや、この緊張感の走る現場に立ち会うなんて、私には荷が重すぎる!

だけど二階堂くんは無情にも、私を奥の間へと連行してしまった。









二階堂くんのお父さんは…、やっぱり想像していた通りの荘厳な感じの方だった。

一通りの挨拶が済んだあと、本題に入る。

「もうすぐ就活が始まるから、今後のことを話し合おうと思って…。」

二階堂くんがそう言いかけた時、ご両親の顔がふっと緩んだ。

「…え?結婚します、とかじゃなくて?」

って、お母さんも驚いてるし。

そりゃそうだよね。

彼女を伴って「話があるから」とかって息子が帰ってきたら、そういう想像もしちゃうよね、きっと。

「は?違うって。
勘当されたまま就職するのも、なんか違うかなって思ったから話し合いに来ただけ。」

不貞腐れたように話す二階堂くんと、やっぱり不機嫌気味になるお父さん。

そして、お母さん1人だけが笑顔だった。

「長くなりそうだから、Aちゃんは温泉とか入っちゃう?」

なんて、私をこの重々しい部屋から連れ出してくれた。









そこからは完全に私はお客様扱いで、温泉や美味しい食事を戴いたりしてたけど、二階堂くんとお父さんとの話し合いはなかなか終わらなくて。

深夜遅くになっても、二階堂くんはあの奥の間から出てくることはなかった。

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わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω\)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー!にかちゃんどうするんだろ?ラブラブになれるかなー?!ドキドキがとまりません!! (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい! (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年3月21日 4時

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