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「恋愛感情の好きに決まってんじゃん。」

「この間まで濃い友情とか言ってたくせに。」

「あれは…。」

そう言いかけて、二階堂くんは黙り込んでしまう。

その表情を見てみたいけど、この腕の中から出たくなかった。

「Aが恋愛感情じゃないって言うから、無理矢理そう思い込んでた。
でも、毎日思うのはAのことばっかだし。
Aに好きって言われて、ようやく気付いた。
やっぱり俺、Aのこと好きだったんじゃん、って。」

「私のこと、避けてたくせに。」

「だって、気まずかったから。
それにAも避けてたじゃん。」

「そのくせに毎晩、バイト終わりに送ってくれてたのは何で?」

「心配だから。」

「何で心配なの?」

「何でって…、好きだから。」

合格。

その言葉に一気に体の力が緩んだ。









「好きだから、一緒にいてくんない?」

ほらまた、そんな腰が砕けるような言葉、立て続けに言わないで。

そんな甘い言葉がスラスラ言えるなんて、二階堂くんじゃないみたいだよ。

私は、そんな二階堂くんの甘い言葉に慣れなくて、返事すらできない。

二階堂くんの顎は私の肩に乗ってるから、今どんな顔をしてるのかもわからないし。

「A、返事は?」

急に偉そうになるその口調も、きっと顔が見えないからだよね。

私の目を見て、そんなに甘い言葉が言える?

だから、そっと二階堂くんの体を押して、その顔を覗き込んだ。

案の定、ふいっと目を逸らされたけど。

「A、ずるくない?
俺にばっかいろいろ言わせて。」

さっきまで抱き合ってたのに、今の私達は不自然に向かい合って、それでも二階堂くんは私の手首を緩く掴んだまま。









コンビニの前でそんなことをしている私達を、店へ入っていくお客さんがチラチラ眺めて通り過ぎていく。

「…場所、変える?」

ボソッと呟いて、二階堂くんは私の手を引いて歩き出した。

「もう、このコンビニ来れねーわ。」

「何で?」

「さっき店員さんと目が合ったらさ、すげーニヤニヤしながら親指立てられたし。」

そっか、二階堂くんの位置からは店の中が見えるもんね。

二階堂くんは掴んでた手首を離して、私の手のひらを包み込むように握り直した。

恥ずかしいのか、視線斜め下で気まずそうな感じで。

わざとゆっくり歩く、マンションへの道。

永遠にマンションに着かなきゃいいのに。

今夜はなんでだか、そう思ってしまうんだ。

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わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω\)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー!にかちゃんどうするんだろ?ラブラブになれるかなー?!ドキドキがとまりません!! (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい! (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年3月21日 4時

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