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病気の時の二階堂くんは弱々しい。

ベッドの上から儚げに上目遣いをしたかと思うと、何も話さなくなる。

「実家に連絡しなくていい?」

そう聞いたら、とうとう布団の中に潜り込んでしまった。

「…いい。」

聞き取れないくらいの小さな声でそう答えると、そのまま動かなくなってしまった。

さて、どうしよう。

この入院騒ぎで、バイトは急遽休ませてもらうことにしたし、二階堂くんはこんな状態だし。









「…もう帰っていいよ。」

布団の中からそんなことを言ってくるくせに、その声はちっとも帰ってほしそうじゃなくて。

あまりの可愛らしさに、胸がキュンと痛くなる。

「私も付き添いしよっかな。
二階堂くんがしてくれたみたいに。」

その言葉に、とうとう二階堂くんは布団から顔を出した。

「個室じゃねーから、大丈夫だって。」

そんなこと言いながらも、嬉しそうな顔してんじゃん。

「ここ、面会時間夜の9時までらしいから、それまで居るね。」

二階堂くんは、ふにゃりと猫みたいな顔で笑うと、安心したのかそのまま眠ってしまった。

無理してたんだろうな、きっと。

私のせいでバイトもクビになったし、完全自活やライフラインを止められちゃったことで、精神的にもキツかったんじゃないのかな。

私が、何とかしてあげなきゃ!









夕方、目を覚ました二階堂くんは、私を見て安心したように微笑んでは、何故かぷいっとそっぽを向いてしまう。

「まだいたんだ。
帰ってもいいのに。」

なんて、心にもないことを言いながら。

今日の私は、そんなことで怒ったりはしない。

「もうすぐごはんが来るんだって。
楽しみだね。」

なんて優しく話しかけてあげる。

「…別に。」

なんて、ツンツンしてくる二階堂くんが、思春期の息子みたいで可愛くて、もっと天邪鬼なことを言えばいいのに、って思うくらい。

それくらい、今日の二階堂くんは弟感満載なんだ。









たぶん美味しくなさそうな病院食も、二階堂くんは残さず食べてしまう。

たぶん熱で食欲もないはずなんだよ。

でも、

「食わないと治んないから。」

なんて殊勝なことを言っては、私を涙ぐませる。

本当は口までスプーンで運んであげたいくらい構いたいけど、そこはぐっと我慢する。

あんまり甘やかすと、嫌われそうだから。

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わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω\)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー!にかちゃんどうするんだろ?ラブラブになれるかなー?!ドキドキがとまりません!! (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい! (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年3月21日 4時

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