闇だけが教えてくれる強い光 Ⅱ (ページ20)

今日:10 hit、昨日:26 hit、合計:6,998 hit

70 ページ20

HIROside

3日前、Aも子どもたちも寝たころ、彩が青ざめた顔であるものを見せた。

彩『Aの部屋でこれを見つけたの、』

手にしたのはAの通院先である病院の名前が書いてあった。

彩『見ちゃいけないって分かってったの、でも』

あの子、最近私たちによそよそしいし、上手く言葉にならない時もあるから。

彩『もう知らなかったせいで後悔なんてしたくないから、』

H『分かってるさ。』

封筒の中にある資料を見たら時が止まってしまった。

【尊厳死の手引き】

と

【尊厳死申請書】

申請書を見るとちょっと不格好な字で

五十嵐A

と書いてあった。

おそらくこれを書いたのは俺と再会する前。

再会した時にはAの書く字は形になってなかった。

あの子はずっと前から人生の終わりをしっかり考えていた。

川「Aさんは日本で尊厳死を認められてすぐ申請書を私に出しました。」

日本で尊厳死が認められなくても海外で最期を迎えるつもりだったと

彩「そんな、じゃああの子は、、」

川「Aさんの申請はご家族の同意を得られていないため、認められませんでした。」

初めて、あの子と離れてたことがよかったと思った。

離れてたからあの子の命を守ることができた。

川「Aさんの尊厳死への意思が強ければ、お2人にもう話されてるはずです。」

みなさんの元に戻ってAさんの中で変化が起こってるのは確かです。

H「今日、僕らが来たことはAには言わないでください。

今度はAが話し出すまで待ってあげなきゃ、」