乗り越えてゆけるはず進んでゆけ (ページ33)

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湧side

湧「おかえり。」

「ただいまー」

Aが戻って来てから当たり前のように俺の家に帰ってくるA。

そのことがすごい嬉しい。けどAには会わないといけないひとがいる。

もしかしたら俺たちよりも会わないといけないひとかもしれない。

湧「A、お母さんとお父さんに会わなくてもいいの？」

Aの両親はAを19年間大切に育ててきた。

Aの病気が分かったあともAの両親は懸命にAを支えた。

「パパとママに会えないよ。だって、、」

Aだって本当は会いたいに決まってる。だけどAは優しいからまだあのことを気にしてる。

湧「たしかにAはAのお父さんやお母さんに辛い選択をさせた。

でもAのお母さんとお父さんはそれでも愛する娘に会いたいんじゃないかな。」

人工呼吸器の装着はAが未成年のため最終的には保護者の一存によるためだった。

Aのこの世の最期の記憶はAの両親が揉めてるとこだった。

人工呼吸器を着けさせるか揉めていた。俺らもその正解のない揉めてるAの両親をただずっと見ていた。

何もできない自分に腹が経った。