消えてしまわないで Ⅲ (ページ13)

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湧side

平塚にあんな偉そうなこと言って本当はこの中で1番震えてるのは俺かもしれない。

あの時と同じだ。真緒を失ったあの時と同じ。

まだAはいなくなってないと自分で言ったはずなのにどうしても白い布が顔にかかった真緒の姿を思い出す。

1番思い出したくない彼女の姿が鮮明に蘇る。

黒「Aは絶対大丈夫。Aは強いんだ。」

Aは強いと言い聞かせないと俺らは持たなかった。

病院までわずか10分の道のりが永遠に遠く、このまま着かないんじゃないかとも思った。

病院に着いた瞬間、少しでもAのそばに居たくて俺らは手術室までの道のりを急いだ。

この着飾った格好はここには場違いだったがそんなの頭になくてただAのことで頭がいっぱいだった。

母「みんなっ、、」

手術室にはAの両親とアジがいた。

平塚がおばさんの元へ寄り添うと今まで我慢してただろう涙がおばさんの目から溢れ出した。

翔「母さん、Aは、？」

平塚が恐る恐る聞いた。泣いて物をとてもじゃ言えない状況のおばさんの代わりにおじさんが答えた。

父「今から緊急手術だって、」

Aが明日にもやるはずだった手術を行ってる。それだけが分かった。