貴様らとっくに両想いだからな！？【天祥院英智】

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−You Side−


らしくも無く、突然スマホが手から抜け落ちたり、“マイナス10点”などと至って意味不明な言葉を口にする英智くん。

本人が大丈夫だと言っているから、これ以上詮索したりはしないけれど……。


それでも、何かしらのもどかしさが消えることは無かったが、そんな時、今更のように空腹感が襲ってきた。



『……お腹空いた』


《えっ、まだ食べてなかったの？》


小声で呟いたつもりが、無駄に有能なのか拾い伝わってしまった自身の携帯。

ただの独り言を聞かれてしまった上に、何故か驚かれてしまう。
電話しながら食しているとでも思っていたのだろうか……？



《昨日は沢山動いていたのに、日付が変わってから空腹を感じるなんてよほどお腹が空きにくい体質なんだろうね、》

『？ 日付……』


英智くんの言葉に疑問を抱きつつ、壁掛け時計を見れば、針は既に0時をまわっていた。
驚きのあまり、小さな悲鳴を漏らす。


『えぇ、いつの間に……！？』

《ふふ。だから、明日も学校だし…そろそろ寝床につかなくてはいけないね》


私の反応とはまるで正反対のように、通常運転で面白がっている様子を見せる彼。

自分も人のことを言える立場ではなく、“少しでも多く英智くんと話したい”という欲求が、裏目に出てしまったらしい。



『多分、私より英智くんの方が疲れてるんじゃない……？ 英智くんこそ、早く寝たいと思ってたよね、』


《うん、確かに疲弊してはいたけれど……Aちゃんと電話したお陰で、疲労感も少しは取れた気がするよ》


私がまたもや謝ろうとしているのに勘づいてしまったのか、重ねて言葉を挟む彼。
変わらずどこまでも優しくて、こっちが勘違いしてしまいそうだった。





《……じゃあ、おやすみ。きちんと夜食も食べて、明日も元気な姿を見せてね》


『うん、英智くんも……おやすみなさい』



そう言葉を交わし、プツリと電話は切れる。
長いようで、けれど短かったような……微妙な物足りなさを感じたまま。

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