貴様らとっくに両想いだからな！？【天祥院英智】

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−You Side−


『……努力が報われなかったらどうしようって、怖くて。

辛い思いをするんだったら、最初から頑張らなければ良かったって＿＿』


「Aさん」

ネガティブ思考に陥った言葉を、遮断するように名前を呼ばれる。
俯いていた顔を無理やり正面へと持ち上げられた。


『わたる、』

涙が1粒、零れ落ちた。



「そんなことを言っていたら、本当に地獄に落ちてしまいますよ……。

そもそも努力を重ねなければ、幸福な明日には繋がらないんです」


悲しそうな表情で目を伏せる彼。私事に巻き込んで、渉までそんな顔をする必要は無いのに。
さっきの雰囲気が嘘のように、暗くひっくり返った。





「だから……後悔しないように、良い未来に繋がるように、努力し続けるんです」


『後悔を、しないように』


そうすれば、必ず道は開ける。
もし失敗しても、そこから最低限悪くなくなるようにやり直せばいい。

彼はそう言った。




「……前に進むんです、Aさん」

真っ直ぐな瞳でこちらを見据える渉。……もう私には、濁った考えは無い。
答えはひとつだ。



『うん、ありがとう』

最後の涙と共に。


＿＿＿＿


「もう泣かないでくださいね。このことが英智にバレたら私、叱られちゃいますので☆」

正気に戻ったように、ハンカチで優しく涙を拭いてくれる渉。
……どうして私が泣いたことに、英智くんが怒るのだろう。


すると、わざとらしくハッと目を見開き、今のは聞かなかったことにしてください☆と誤魔化された。本当に謎である。






.



「わざわざ来てやったぞ、部長。

……む、神楽先輩もいるのか」


突如開いた部室の扉。振り返るとそこには＿＿




『氷鷹、くん』


「うおっ！？ 何故泣いているんだ神楽先輩！？」

.

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