だって、わたしがいる【銀魂】4

だって、ほんとなんだ ページ46

沖「姉上は死んだ両親の代わりに
俺を一人で育て上げてくれた。
優しくて綺麗で、儚くて自慢の姉だ」


「……」




沖田隊長はミツバさんのことを話し出した。
いつもの飄々とした表情でも、
いつもの挑発的な表情とも違い、
懐かしんでまた、愛しんでいる、
柔らかな表情をしていた。




沖「ただ、生まれつき身体が弱かったんでぃ。
だから、俺が強くなって姉上を守りたかった。
近くの近藤さんとこに通い始めたのも
それが理由のひとつでな、
腐ってた俺を近藤さんは拾ってくれた。





それから、しばらくして
あいつが来たんでぃ」







あいつ。




そう言葉にした瞬間、
表情は一変し
どこか虚ろぎのある
苛立ちを感じさせた。






沖「あいつの何もかもが俺ぁ、
気に食わなかった。
俺をガキ扱いしやがるし
近藤さんも、姉上も、、
あいつといるのが楽しそうだった。
土方がどんどん嫌いになってたんでぃ。




何年かして、江戸で一旗上げようと
姉上を残し上京が決まった夜。


俺ぁ、聞いちまったんでぃ」


「聞いてしまった…？」


沖「ああ。桜の木の下でな…」


「…！！？」




一瞬にして、蘇る。




わたしの、桜の木の下の記憶。





彼のきらきら揺れる銀髪。







沖「姉上は土方の野郎に
連れて行ってくれ、傍に居たいと言った。
それなのに土方は、


知ったこっちゃねぇんだよ、てめぇのことなんざ


ってな、
姉上を突き放したんでぃ」



「…っ……」


沖「ああ、わぁってら。
俺もんなことにはあの頃から気付いてる。
姉上を突き放したのは、あいつが…
土方が、姉上を同じように想ってた証拠だ。
姉上はそんなあいつを想ってたんだ。
江戸に来てもずっと、お互いを…ずっとな」


「………、」





知ってたはずだ。

分かってたはずだ。

そうなんだろうって、
素敵なふたりなんだろうって、





沖「姉上は結婚を考えていたが、
それは俺を安心させる為。
最後の最後まで自分の幸せより
俺の幸せを考える人でねぃ…。
心にいたのはいつもあいつだった筈だ。
……土方の野郎も、きゃあきゃあ騒がれるが
どいつも寄せ付けないのはまだ、姉上を…」





やっぱり、最近のわたしは
おかしいよ。

だって、
ほんとなんだ。



分かってた筈なんだ。





それなのに、




どうしてこんなに胸が痛い。

どうしてこんなに辛い。


どうしてこんなに、





沖「ふたりは想い合ったままなんだな」





壊れてしまいそうなの。

想像以上 : 沖田→←映してくれ : 沖田

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