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懐かしい夢 : 銀時 ページ25

だから、わたし
決めたの。



わたし、強くなるよ。絶対に。






桜の下で、そう言うAに
俺は何も返せなかった。





そして、Aは消えた。








桂「おいっ!!どこにもおらんぞ!」


坂「まさか、敵襲に
拐われたんじゃなかっ!?」



どんっっっっ



銀「っ…!?何しやが、」


高「ってめぇ、何か知ってんだろ!?」


坂「おい…よせ、高杉!」


桂「………、銀時?
何か知っているのか?」




ばたばたと、皆でAを探す中
座り込んでいた俺に
その眼を剥き出して、壁に押し付ける高杉。
俺の反応を見て、ヅラと辰馬の顔色も変わる。




銀「………、知らねぇ」


高「っざけんな!!!
昨夜、お前と帰ってきた事は分かってんだ!
何をした!??」


銀「何もしてねぇよ」


桂「銀時、知ってる事があるなら
きちんと言え。皆がどんな思いでいるか考えろ」


銀「…………だから、んとに知らねぇんだ」


坂「……おい、まさかA、」


高「…!」


桂「自ら、出て行ったのか?」




高杉は乱暴に俺を払い、舌打ちをした。
返事をしないまま、俺は身を起こし
昨夜から同様に項垂れる。




桂「……、何か言っていたか」


銀「…いや、」


坂「…何でじゃ、誰も…、
誰もAを負担に思ったりしとらんぜよ」


高「………、」





負担、か。





銀「違え」


坂「…?何がじゃ」


銀「……負担だったのは多分、俺らの方だよ」


桂「……そうか」


高「…………、」









懐かしい、夢を見た。



Aと再会するまで
幾度も見てきた夢だ。
久しぶりに見たな。



眼を開けると、まだ夜がそこに居て
小さな部屋を月明かりが照らしていた。
酔いは冷めてきた気がしてたが、
感傷的にでもなってたか。




銀「……負担か」




花見の帰り道、何気なく
隣を歩く様や阿吽の返し。
目線の動きや微笑み方、
ああ、もう出来上がってんだなと
感じずにいられない、ふたりの空気に
持ち合わせた自恃をもっと振るいたくなる程で。

でもそれは、

俺をほっとさせた情景でもあって。
あいつなら、Aの負担になることはねぇ。

今の俺なら。今のAなら。
そうだったなら、多分。おそらく。



銀「……懲りないね、俺も」



特別な繋がりってやつに
甘さも感じちゃいるが、
疼く想いは今とて、同じだ。


から…っ


障子を開け、月を仰ぐ。
今夜の月は随分と低い。



銀「落ち続けてんのは、俺か…」



変わらず、ずっと。

桜の木の下には死体が埋まってる→←桜の記憶 : 銀時



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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ともみ - もう余韻に浸りすぎてただの中毒です笑笑。作者様のセンスが輝いてますほんと。すきです。 (2019年3月6日 7時) (レス) id: 53269475bb (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - ともみさん» 隙あらば!!どハマり!!見応え…!わたしは今涙で前が見えません…感謝でいっぱいなのはわたしです、なんて嬉しいコメントをくださるのでしょうか!ありがとうございます涙 銀さんオチ、わたしも書きたくなってきました!! (2019年2月19日 0時) (レス) id: 8246142a47 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - 2日かけて隙あらば読んでどハマりしてました!最後に見応えのある面白い作品でした!出会えて感謝です!余韻に浸り、もう一回見ます!笑笑、私的にはぎんさんオチも見たかったです! (2019年2月12日 16時) (レス) id: 53269475bb (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 紺15さん» たくさんコメントしてくださり、嬉しいです!最後まで読んでいただき、ありがとうございましたっ!!おまけ程度でもまた少し書けたらなと考えてます。よかったら、また見てあげてください!! (2018年10月24日 11時) (レス) id: 3d5acb8dd8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - なつさん» そんな風に言っていただけるなんて、ほんとに嬉しいです!!少しだけでもまた書けたらと考えています!! (2018年10月24日 11時) (レス) id: 3d5acb8dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2018年10月3日 12時

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