だって、わたしがいる【銀魂】11

だって、わたしがいる : 土方 ページ22

「土方さんは、鬼だし怖いしマヨネーズバカだし
重度の喫煙者で迷惑ハンパないし
こうやって、すぐ乗せられて
負けず嫌いなこどもみたいなとこあるし
真面目故に意外と気にしいで
面倒くさいところ多くて
横暴で強面で、自他共に厳しすぎて」


土「おい」


「あと……ほんとね、」




ちらり、



と
眠る万事屋を見た事は多分
俺しか気付かなかっただろう。






「……だから、わたしがいないとなって」





ぱっと、笑って見せたその顔に
ここにいる奴らは皆、胸が軋んだ筈だ。
顔を赤らめている隊士もいれば、
チャイナたちまで謎に照れてやがる。





ぱしっ





土「…！？？」


「土方さん！」


土「な、なんだ」



Aは俺の手を取り、
目の前で黒い、大きな眼を輝かせる。



「どんな土方さんでもいいんです」


土「は？」


「皆にどれだけ言われても」


土「いや、一番言ってたのお前」


「わたしだけは分かってますから。
土方さんの思う、土方さんでいてください。
この先、どんなことがあっても」




俺の手を胸の前で握り、
またぱっと笑って見せる。
絡める指にはらり、
桜の花びらが触れる。

Aは花びらを乗せたまま、
もう一度、決心したように頷く。








「だって、わたしがいるじゃないですか」


土「…！」








顔が熱くなるのを感じる。
隊士どもが、
固まる近藤さんと総悟が
万事屋どもがいるってんのに
今はちっとも視界に入って来ねぇ。




「土方さんの隣に、ずっと。
わたしと結婚してくれますか…？」




考える必要もねえ。
脳が指令を出さずとも、自然に
俺の唇は動いていた。




土「…ああ、頼む」




わあっっ、と一斉に声が上がり
俺は現に戻された。
酔っ払った隊士たちが騒ぎ出し、
チャイナとメガネは泣き出した。
近藤さんは叫び出し、
総悟に至っては完全停止しちまってる。


瞬きを数度、繰り返し
俺は今置かれる現状を呑み込む。
Aに視線を戻すと



土「……！」


「へへ…、嬉しくて…！」



大きな眼にうっすらと涙を浮かべ、
恥ずかしそうに笑った。



土「……、絶対幸せにする」


「…はい！頼みますね」






ばしゃあぁっっ






土「うわっ…！？」






突然、終やテツ、隊士達に
日本酒をかけられ、おい！と言いながらも
口角が緩んじまったのは見上げた先に


なんつったか、
ソメイヨシノとは品種の違え
ちょっと白っぽくて花びらが重なってる…、


あの桜が満開に咲き誇っていたからだ。

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