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でも違う : 銀時 ページ15

Aは一瞬、きゅっと眼を瞑り
俺が吹きかけた桜の花びらを眼で追いながら
もう、と俺の肩を軽く叩く。



「ね…、綺麗」


銀「……そうだな」


神「……」


新「……」


神「あ、あれー!?わたしの酢こんぶがないネ!」


新「あ、あれー!?銀さんのいちご牛乳もだ!」


銀「あ?確か、その袋に入れ、」


新「ありませんね!?ね!?
すみません、銀さん、Aさん、
ちょっと買って来てもらえませんか?」


銀「は?」


山「え、Aちゃんは
俺と席取り交代で、」


神「頼むネ!A!!
銀ちゃん一人じゃおつかいできないアルよ!」


銀「え?」


「うん!いいよ!!
すみません、山崎さん。
ちょっと行ってきますね!
あんぱん買ってきます?」


山「え、ああ、うん」


「こしあんですよね?
銀ちゃん、行こ!」


銀「え、ああ、うん」



ぱたぱたと駆け出す、A。
俺は慌てて立ち上がり
後を追いながら振り返る。



神新(ばっちーーーん☆ぐっっ!)


銀「………、、」



神楽と新八の、
礼はいらねぇぜっ!!
というウィンクとサムズアップから
溜息混じりに眼を反らす。



銀「…はあ。悪ぃな、A」


「へ?全然いいよ!
それに…桜の下を
銀ちゃんと歩けるなんて、
ちょっと…ううん、すごく嬉しい」


銀「…!そ、そうか!」



満開の桜の下、ところどころで
花見が始められている。
少し遠回りして行くか、と
人気のない公園の端へと向かう。



銀「……、何だ?」


「へ!?あ、ごめん…」



黙って歩いていると、
Aが俺を盗み見ているのに気付く。
何も言って来ねぇので見過ごそうとしたが
こう長く見つめられるとさすがに照れる。



銀「俺の頭にも花びらついてっか?」


「ううん、そうじゃなくて…」



Aはゆっくり進めていた足を止める。
それに気付き、振り返る。

桜を見上げる、その横顔に
さっきの何倍もざわっと身震いする。
記憶が、あの夜の風も匂も音も
溢れ出してきて、充満する。
意図も容易く俺を、掻っ攫う。



「変わってない、あの夜から何も。
銀ちゃんは変わってない」


銀「…Aは、」


「…わたしは?」





ああ。同じだ。




消え入りそうな声も
この情景も
ただただ、儚く。




でも違う。


その姿はもう、危うくなんかねぇ。





息を呑むほど、綺麗だ。





銀「強くなった…。俺なんかよりずっと」



Aは微かに眉を下げ、
笑って見せた。

届く : 銀時→←ふぅっ : 銀時



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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ともみ - もう余韻に浸りすぎてただの中毒です笑笑。作者様のセンスが輝いてますほんと。すきです。 (2019年3月6日 7時) (レス) id: 53269475bb (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - ともみさん» 隙あらば!!どハマり!!見応え…!わたしは今涙で前が見えません…感謝でいっぱいなのはわたしです、なんて嬉しいコメントをくださるのでしょうか!ありがとうございます涙 銀さんオチ、わたしも書きたくなってきました!! (2019年2月19日 0時) (レス) id: 8246142a47 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - 2日かけて隙あらば読んでどハマりしてました!最後に見応えのある面白い作品でした!出会えて感謝です!余韻に浸り、もう一回見ます!笑笑、私的にはぎんさんオチも見たかったです! (2019年2月12日 16時) (レス) id: 53269475bb (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 紺15さん» たくさんコメントしてくださり、嬉しいです!最後まで読んでいただき、ありがとうございましたっ!!おまけ程度でもまた少し書けたらなと考えてます。よかったら、また見てあげてください!! (2018年10月24日 11時) (レス) id: 3d5acb8dd8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - なつさん» そんな風に言っていただけるなんて、ほんとに嬉しいです!!少しだけでもまた書けたらと考えています!! (2018年10月24日 11時) (レス) id: 3d5acb8dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2018年10月3日 12時

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