事実は小説より奇なり。【K/i/k/k/u/n】 (ページ15)

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Fifteen wings ページ15

瞬間、耳を劈くようなクラクションが辺りに鳴り響き、違う方に向いていた意識と前のめりになった気持ちが一緒に私の元へ帰ってきた。

クラクションを発したものの正体は大型のトラックで、近くに住んでいる人たちは鳴り響いたクラクションに何事かという様子でわらわらと集まってきた。
マンションやアパートのベランダからもこちらを見ている人がいるようだ。
とはいえ、車側にも私にも怪我一つない。
どうしたものか。

「あの……お怪我とかしてませんか？」

「あぁ、大丈夫です。すいませんが急いでいるので失礼します。飛び出してしまって申し訳ありませんでした」

「いえ、私もミラーを確認していなかったのでおあいこです」

そう言った彼は、どこか人間らしさが感じられない不適で妖艶な笑みを浮かべていた。

それはきっくんが悪い方に進んでいるということを暗示させているように思えて仕方なかった。
焦りからそう見えてしまったのか、はたまた本当に笑みを浮かべていたのか。
すぐに意識を自転車に戻してしまった私には知るよしもない。

私は彼に一礼してすぐに自転車を走らせた。