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全く、その通り : 土方 ページ26

総悟の姿が見得なくなり、
Aが買出しに出たと聞いて、
すぐに事を理解した俺は
イライラしながら、
煙草に火を点け見廻りに出た。



土「また、どうせ
金魚のフンみてぇにくっついて
サボりやがってんなぁ、あいつぁ」



ぶつくさ言いながら、歩いていると
こほこほと煙草の煙を疎ましがられ
仕方なく、傍の喫煙所に腰を掛ける。
最近じゃ、喫煙者の肩身が狭くて仕方ねえ。



「御察しの通り、ねえです」



…!

突然、Aの声が聞こえ、振り返る。
どうやら、俺の座っている角の向こう側で
あのサボり魔と話しているようだ。



沖「あー、気持ち悪ぃ客に触られるのは
吐き気がしてたとか…?」


「………なかったです、仕事でしたから」


沖「…今は?」



俺は声を上げて、
立ち上がろうとしたところで
その質問に耳を傾ける。



沖「例えば、あっこの八百屋のおっちゃんに
無理矢理、身体を触られたら?
ここは吉原でもなきゃ、金銭の授受もねえ」



おいおい、八百屋のおっちゃん
とばっちりだな。
それに…、



「どう思うのか、分かりません。
嫌だと思うかもしれないし、
それはそれで受け入れていそうな
自分が見える気もします」



ああ、分かってた。俺にも見えてた。
お前はそうだろうな。
分かってはいたが、その答えに
項垂れる俺がいる。



沖「もう、お前ぇらしく
生きていいんじゃねぃ?」



総悟の言葉に、眼を丸くする。

お前らしく、Aらしく、
生きる。

すげえな、
そんなこと言えんのか、あいつ。
Aが欲しているかはともかく、
そう生きて欲しいと
Aを思う、誰もが願ってることだ。

我慢や空虚はお前をからっぽにするだけ、
全く、その通りだ。

Aが生きて行く上で、
当たり前に植え付けられたそれは
遊女が自身の心を保つ為の術で
身に付けることが出来なければ
やって行くことなど、到底不可能だった筈だ。
だが、今ひとりの女として
生きて行くことを選んだAには
術故に、満ち足りること、
それをそのまま、受け入れることが
どうしたって、難しくなっちまうんだろう。

吐き出した煙は、風に揺ぎ、
俺はぼんやり見上げながら
少しばかり、途方に暮れていた。



沖「!……それと、
そんなに旦那に逢いたかったんで?」



総悟の声に、肩がびくんと跳ねた。
俺の中で重苦しい、
苦い何かが湧き上がる。



「友人だと言ってくれていた銀時さんは
どこか、違う気がするなって…」


土「…!?」

情け無く : 土方→←残念ながら : 沖田



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美雨(プロフ) - 宙さん» あわわ…!なんと嬉しいコメント!ありがとうございます!細かく考えているのに忘れたりと矛盾箇所も出てたりしますが最後まで頑張ります!ありがとうございます!! (2019年9月14日 0時) (レス) id: ad41125a5f (このIDを非表示/違反報告)
- ほんとに、ほんとに、面白いです。色々なことを細かく考えて書いているんだろうなぁって思ってすごく尊敬しています。これからも頑張ってください! (2019年9月13日 22時) (レス) id: 2dea61ff35 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 狗冰さん» わああ!わざわざ、ありがとうございます!文才がないのに苦しみながらも頑張ってます汗 最後まで楽しんでもらえるように頑張ります!ありがとうございます!! (2019年9月4日 20時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
狗冰(プロフ) - めっさ面白いです!楽しく読んで気がついたらもう4に!?小説を書く文才をわっちにも分けて欲しいでありんす。この作品を最後まで応援しているので、更新頑張ってください! (2019年9月3日 23時) (レス) id: aa5a4ed97b (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 光華さん» はわわわ…!コメントをいただけるとほんとに恐縮してしまいます…でも、頑張らないとー!とやる気が上がります!楽しんでいただけるよう、最後まで頑張ります!!ありがとうございます泣 (2019年8月13日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年8月4日 0時

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