この手を離すな【銀魂】4

御察しの通り : 沖田 ページ24

「ごめんなさい、買出しの荷物なのに
持ってもらっちゃって」


沖「手伝ってねぇと
またサボり扱いされんだろぃ」



両手の荷物の中には
忌々しい、マヨネーズが大量にあって。



「総悟さん、どうしてあんなに
神楽ちゃんと仲良しなんですか？
歳が近い訳でもないのに…。
あ、でも周りの人に比べたら、近いのか」


沖「お前ぇ、どこに眼つけてんでぃ」


「…ここ？」



自分の眼を指差し、
きょとん顔をするA。
俺は盛大に溜息を吐き、
たばこ屋の椅子にどかっと座る。



沖「重てぇんで休憩」


「え！でも、サボり、」


沖「きゅうけぇいぃ」


「…はい」



Aは諦めて、俺の隣に座った。
はぁ、ともう一度溜息を吐く。



沖「どこをどう見たら、あのクソガキと
仲良しこよしに見えたんでさぁ」


「クソガ…あ、神楽ちゃん。
だって、たくさんお話ししてましたし
ケンカできるなんて仲良い証拠ですよね？」


沖「ケンカするほど仲が良いなんて、
迷信中の迷信だろぃ。
ケンカした相手と仲良くしたことあるんで？」



買出しに紛れて買わせた、
チョコレートを袋から取り出し
もぐもぐ食べながらAを見ると
黙ったまま、眉を顰めていた。



沖「…ケンカ、ねえのか」


「御察しの通り、ねえです」



眉を顰めたまま、うんと頷くAは
迷信なのか、と呟いた。




主張することなど、
なかったんだろぃ。
全部、受け入れて
全部、呑み込んで
自分の中で、消化させて。




沖「嫌だ、と思うこととかねえんで？」


「嫌？」


沖「気に食わねえとか、腹が立つとか」


「……居心地が悪い？みたいなことですか？」


沖「…違え」


「違いますか」


沖「あー、気持ち悪ぃ客に触られるのは
吐き気がしてたとか…？」


「………なかったです、仕事でしたから」


沖「…今は？」


「今？」


沖「例えば、あっこの八百屋のおっちゃんに
無理矢理、身体を触られたら？
ここは吉原でもなきゃ、金銭の授受もねえ」



Aは向かいのおっちゃんを見つめ、
更に眉を顰めた。首を傾げながら。



「どう思うのか、分かりません。
嫌だと思うかもしれないし、
それはそれで受け入れていそうな
自分が見える気もします」



ああ、俺には
はなっから、後者が見えてるよ。
戸惑いながらも、おっちゃんに
笑顔すら見せてそうな姿がねぃ。

俺はAの頭に手を回し、
ぐっとこっちを任せる。
眉を顰めていたAは
またきょとん顔で俺を見つめる。

残念ながら : 沖田→←睨めっこ

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