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深く柔らか ページ3

夢現に聞いた優しい声も
夢現に感じた温もりも

すべてすべて、

この手で抱き竦めておきたかった。


夢だと理解しながらも、
自分の手を握り締める。
掴めるように、
離さないように、



「…?」



何も掴めない筈の手が
柔らかい物を掴み、
わたしはゆっくりと眼を開ける。

わたしの手には
きらきらと揺らめく、銀色が握られていて



「…え?」



手を緩め、どけると
そこには銀時さんが眠っていて
驚いて身体を起こそうとすると
重い何かがお腹あたりに乗っていて



「…えぇ?」



わたしを真ん中に、
右には銀時さんが眠り
左には土方さんが眠っていた。
ふたりは深い眠りについてるのか
微動だにせず、わたしはお腹に乗せられた、
土方さんの腕をどかせないまま
もう一度、枕に倒れた。

どういう状況だろう。
昨夜は何があったんだっけ。
みんなで深海魚特集を見て…、
わたし、いつ部屋に来て眠ったのだろう。
ふたりでわたしを運んでくれたのかな。
それでそのまま、眠ってしまったのかな。

右側を向き、すやすや眠る
銀時さんの寝顔を見る。
改めて見ると、端正な顔をしてるなぁ。
いつもにこにこしているから
こうやって、自然な顔は初めて見たかもしれない。
四辻さまから助けてもらった時は
ほんとに別人のようだったな。
先ほど、掴んでしまった髪は痛くなかったかしら。
もう一度、そっと伸ばし
きらきら揺れる銀色を撫でてみる。
綺麗だなぁ。



「…っん!」



指を絡ませていると
お腹を急に引き寄せられ、
驚いて今度は土方さんを見る。
どうやら、寝てるようだけど…。
わたしを抱き枕かなんかだと思ってるのかな。
急に引き寄せられ、
わたしの首元に顔を埋めて
少しだけ、こそばゆい。
普段からは想像もできない眠り方に
なんだか、微笑ましくなってしまう。
どこからか、燻る煙草の匂と
土方さんの肌の匂だろうか、
少しだけ、甘い匂がする。
不思議。甘い物なんか食べない人なのに。


状況はよく、分からないけど
ふたりが落ち着いて眠れているならよかった。


足と手を使い、ふたりを起こさないように
掛け布団をズラし、ふたりにも掛かるようにして
わたしはもう一度、銀時さんの髪に
右手の指を絡ませ、その頭を撫で
左手でわたしの首元に顔を埋める、
土方さんの髪を撫でた。


ふわふわの銀色の髪に、
さらさらな黒色の髪は
どちらも心地よく
なんだか、贅沢だななんて思いながら
恐らく、今ここで眠る誰よりも
深く柔らかな眠りに着いた。

愚か : 土方→←くんっ : 銀時



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 土方十四郎
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美雨(プロフ) - 宙さん» あわわ…!なんと嬉しいコメント!ありがとうございます!細かく考えているのに忘れたりと矛盾箇所も出てたりしますが最後まで頑張ります!ありがとうございます!! (2019年9月14日 0時) (レス) id: ad41125a5f (このIDを非表示/違反報告)
- ほんとに、ほんとに、面白いです。色々なことを細かく考えて書いているんだろうなぁって思ってすごく尊敬しています。これからも頑張ってください! (2019年9月13日 22時) (レス) id: 2dea61ff35 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 狗冰さん» わああ!わざわざ、ありがとうございます!文才がないのに苦しみながらも頑張ってます汗 最後まで楽しんでもらえるように頑張ります!ありがとうございます!! (2019年9月4日 20時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
狗冰(プロフ) - めっさ面白いです!楽しく読んで気がついたらもう4に!?小説を書く文才をわっちにも分けて欲しいでありんす。この作品を最後まで応援しているので、更新頑張ってください! (2019年9月3日 23時) (レス) id: aa5a4ed97b (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 光華さん» はわわわ…!コメントをいただけるとほんとに恐縮してしまいます…でも、頑張らないとー!とやる気が上がります!楽しんでいただけるよう、最後まで頑張ります!!ありがとうございます泣 (2019年8月13日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年8月4日 0時

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