正気 : 銀時 ページ10
銀「待たせたなっ!」
月「5秒は待ったとは言わぬ…」
急いで準備すっから待ってろ!
と慌てて、用意して万事屋を出る。
なんていい話を持ってきてくれんだ!
月「事件のことは知っていたんだがな、
落ち着くまでは連絡も取れぬだろうと待っていたら、
Aの方から連絡をくれてな。
出向くと言うのだが、
Aの新しい生活も見たいと
行く約束をしたのじゃ」
銀「なるほどね。
で、ひとりで行くのは
心細ぇから俺を頼ったって訳ね」
月「は?」
月詠は足を止めて、
怪訝な顔で俺を睨む。
月「誰が奴らのとこに行くのに
心細くなると言うんじゃ。
どうせ、主が逢いに行きたいだの
駄々をこねて、こどもらを
困らせてると思ったから
建前で頼ってやったのじゃ。
他に何がある。阿保が」
銀「……、お、お気遣い、
すみません、ね……」
ふんっと鼻を鳴らし、
再度歩き始める月詠の
半歩後ろを歩く。
ここでも居た堪れねぇのかよ。
月「……礼を言う」
銀「…あ?」
月「Aから聞いた。
主がAを四辻から
救ったらしいな」
銀「あ、ああ…あん時ね」
月「…情けないが、
四辻を見抜けんかった。
いや…、むしろ買っておった。
あやつなら、何もかもに
期待や念願が皆無な、
Aの生気を取り戻させてくれると
思っていたのだがな…」
銀「…何十年と何百人を騙してきた奴だ。
いくら、お前らに男を見る眼があったって
んなの見抜けねぇよ。
………Aちゃんは
昔っから、そうなのか」
月「そうとは?」
銀「なんつうか、…鳥籠に
いるみてぇな…。
自分の価値を卑下してるみてぇな‥」
月詠は…ああ、と
昔を思い懐かしむ様に空を仰いだ。
月「初めて逢ったのは、
Aが鳳仙に連れられて来た日じゃ。
正確には分からぬが、7歳そこらだったと思う。
酷い状態でな、連れてきたはいいものの、
元気になってからも、まるで人形のようで
遊女から揖斐られておった。
何でも淡々とこなしちまうし、あの容姿じゃ。
揖斐る遊女をすぐに追い抜いていたな。
日輪もわっちも気に掛けてはいたが、
とうとう、嫁ぐまで
Aの心は開ききれなかったように思う」
銀「………」
月「でもな、主と逢うようになってからは
どこか人間味を増していたんじゃ。
ほんとじゃ。故に主にはAと
仲良くいてもらいたいと思っちょる」
銀「な、仲良くっ!!?
…あ、ごめん月詠ちゃんごめん。
クナイしまって?ごめんなさい」
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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時