みっつ : 土方 ページ8
土「…え？」
総悟に団子を渡したか、と
聞こうとすると突然
Aは俺に頭を下げながら
大きな声で謝罪をしてきた。
なんだ？
団子でも落としたのか？
それとも、この茶に何か入ってたとか？
え？何？そんな大層なこと？
「…ごめんなさい、わたし」
土「何だ、突然。何かしたのか」
「…分かりません」
土「は？」
「何かしてしまったかもしれないし、
何かしてしまうかもしれません」
土「はぁ？」
いや、どういう意味だよ。
謎かけか？全然、意図が掴めねぇ。
俺はとりあえず、湯のみを置き
俯くその顔を覗き込んで見る。
覗き込んで見たはいいが、
ちっとも表情が伺えねぇ。
何なんだよ、急に。
さっきまで、平太に逢えて
あんなに嬉しそうにしてたってんのに。
俺は肩と顎に手を置き、
土「いいから、ほれ。顔上げろ」
とAの顔を上げさせる。
眉を下げ、眼は虚ろ気で
唇を噛み締めている顔と眼が合った。
どうやら、ほんとに思い悩んでるようで。
土「…なんだ、言ってみろ」
「…いえ、その。
わたしは多分、恐らく
多くの方と常識や価値観に
ズレがあると思うんです。
世間知らずの域を越してるかもしれません。
ここでやっていくのなら、
もっと身に付けないといけないと
気付いたのですが、もう既に
例えば、土方さんに…
何か、不愉快な思いをさせてしまって
いたんじゃないかと…」
土「…それで謝罪を？」
「…はい」
はあぁ、と溜息を吐き
もう一度、その眼を覗き見る。
不安そうに揺れてはいるが
この眼に捉まるといつも、
俺の何かが、騒ついて仕方ない。
土「いいか、まずひとつ。
やってもいねぇことで謝る必要はねえ」
「…」
土「ふたつ。
常識や価値観なんてモンは
誰とも合致しねえ。
でもアップデートは出来るもんだ。
そこで擦り合わせるなりすりゃいい。
…まあ、どうやったって
擦り合わせられねぇ奴ってんのもいるけどな」
「…」
土「みっつ。
俺はAに迷惑掛けられたことも
嫌な思いをさせられたこともねえよ」
黙って聞いていたAの眼が
少しずつ、落ち着いていく様を見て取れた。
顎を支えていた手を
頭に持って行き、ぽんぽんと撫でる。
土「だから、安心しろ」
朝の陽を浴びて、
花がゆっくりと咲いていくように
Aの顔は
蕩けていくように笑顔になった。
俺はその笑顔を至近距離で見つめて、
土「…！！？」
ぶわっと身体の熱が上がるのを感じた。
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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです！ありがとうございます！ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります！！ (2019年6月23日 22時) (
レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます！更新頑張ってください！ (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美雨 | 作成日時：2019年5月19日 23時
