ん、 : 銀時 ページ46
やべぇな思ってたより、やべぇな。
だってさ、考えたら久しぶりなのよ。
Aちゃんとふたりで過ごすの。
頭は、吉原に逢いに行ってた頃で
いっぱいになって、
なんかどぎまぎして来やがった。
「…ん、銀時さん？」
銀「え！？あ！何！？」
「えと…急にお誘いして、大丈夫だったかなって。
明日お仕事で早かったりしませんか？」
銀「ああ！うん！全然平気！
むしろ、今すげえ嬉しくて！」
「嬉しい？」
銀「あ！？いや！？な、なんつうの！？
なんか、久しぶりにこうやって
ゆっくり話せるなぁって！？」
並んで屯所へと歩きながら、
口走った言葉に慌てる。
夜風に踊る、黒く長い髪が
艶々と綺麗でつい見惚れちまう。
「ほんとですね…、懐かしい。
わたしもすごく嬉しいです。
銀時にさんに逢えると、いつも」
銀「っ！？」
まま舞い上がり過ぎんな！？
ももう女中とは言えど
生粋の遊女だったんだから！
良くも悪くもナチュラルに
男を翻弄しちゃう子なんだから！
……
だめだ。
顔が熱いし、口元が緩んでく。
俺は咳払いをするフリをして、手で口を隠す。
銀「で、でもやたら土方くんと
仲良さそうだったし
あ、それに！沖田くん？は名前呼びだし！？
お友達第一号としては
ちょっと寂しいなぁ、なんて、」
ばっ
「銀時さんはっ！！」
銀「っえ！？」
ふざける俺の言葉を遮って
Aちゃんは並んで歩いていた足を止め、
ぐっと力強く、俺を見上げた。
「銀、時さんは…！その、
わたしには、やっぱり特別で…。
吉原という狭い籠から、
外を見てみなよって
手を、引いてくれた人で…」
銀「…特別……？」
「はい、特別な人だから
さ、寂しくさせるのは
わたしも…嫌です…」
銀「…っ」
無理無理無理無理無理だって。
舞い上がらない訳ねぇじゃん。
無理でしょ、だってこんなん。
掻き集めただけの言葉だったとしても、
翻弄されてるだけだったとしても、
今、
眼の前で
白い頬を赤らめながら
大きな眼を潤ませながら
こんな
必死に、言われちゃ
銀「…俺、もっと逢いたいわ。
Aちゃんに」
「…っへ、」
おチャラけることも、
着飾ることも、できねぇままに
溢れ出た想いをか細い身体に届けて
少しだけ、震えたその肩に
羽織をかけてやって。
「あ、ありがとう、ございます」
銀「ん、寒いでしょ」
「あの！羽織も！…もっと、も…」
銀「ん、俺の正直な気持ち」
「！う、嬉しいです、わたしも、です」
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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです！ありがとうございます！ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります！！ (2019年6月23日 22時) (
レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます！更新頑張ってください！ (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美雨 | 作成日時：2019年5月19日 23時
