ひゅんっつぅのか きゅんっつぅのか : 土方 ページ41
それから、恐らく数分後。
俺は自分が置かれている状況と
自分が仕出かしたこと、
自分が発した言葉に、
次第に慄き始め
ばっと、その腕を上げた。
土「わ、悪っ、」
ぎゅっ…
土「へ…」
自分でも情けねぇ声が出た、
と思ったのは
俺の腰に細い腕が回されたからで
「…あったかい」
俺のどっかが、ひゅんっつぅのか
きゅんっつぅのか分からねぇが
確実に熱を持って跳ね上がり
俺は身体を硬直したまま、動けなくなった。
「なんか……久しぶりに、
人の体温を感じた気がします」
安心しているような声に
俺は顎を下げ、
俺の身体に抱きつく
Aの旋毛を見下ろした。
ああ、そうか。
Aは否が応でも
毎晩、体温を感じて生きてきたのか。
土「……さ、むかったのか。
足、痛むか」
「いえ…。身体が冷えていた訳では…」
土「…………」
俺はAの肩を掴み、
その身を離す。
Aは少しばかり、
名残惜しそうに俺を見上げる。
土「とにかく、悪かった。
おかしな真似をした。
………ただ、女中と言えど
お前は真選組にいるんだ。
もっと、信用してくれていい」
「…はい、すみません」
土「謝るこたねぇが…。まぁ、
んなアホばっかじゃ、頼りにもなんねぇか」
「いえ！みなさん、
良くして下さってますし
気遣ってもらってるのも理解してます」
土「そういうとこだよ。
気遣ってんじゃなくて、
お前を大事にしようと
アホもアホなりに考えてんだ。
もっと甘えてやれよ」
「…っそう、ですね」
少しだけ嬉しそうに笑ってから
ふたりの間に出来た距離に
目を泳がし、再度俺を見上げる。
「……土方さんにも、ですか」
土「！……あ、ったりめぇだ」
眼を反らしながら、呟くと
Aはしっかりと微笑み
もう大丈夫です、と姿勢を正して
俺から離れた。
「…でも、誰かが来る気配がありませんね」
土「…だな」
いや、さっきの状態で
誰かに来られてもヤバかったろ、
とは言わず、溜息交じりに座り込む。
土「扉を叩いて、大声出したところで
外には聞こえねぇだろうし。
近藤さんに頼まれた仕事なんだろ？
その内、来んだろ」
「あ…でも、近藤さん、
おたえ？さん？という方のところへ
出掛けるとかなんとか…」
土「あんっの、ゴリラストーカー！」
がごぉん‥っ
土「！おい！！誰かいるか！？」
「あ！あの！！開かなくなってしまって！
ドア、開けてもらえませんか！？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです！ありがとうございます！ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります！！ (2019年6月23日 22時) (
レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます！更新頑張ってください！ (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美雨 | 作成日時：2019年5月19日 23時
