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馬鹿か : 土方 ページ40

慌てて、俺の元にしゃがみ込み
俺の背中をさするA。
ガキか、俺は!
Aが気にする筈もねぇ!
俺だって、相手がAじゃなきゃ、



土「………っ!?」



自分の思考と眼の前で
俺を心配そうに覗き込む、
Aとの距離感に
一時思考が停止した。

俺、今何思った?



土「だ、大丈夫だ!水っ…!
悪かったな、助かった」


「いえ………。
埃立つし、開くまで
小物の整理しますね」


土「あ、ああ…。そうだな」



俺は咳払いで誤魔化しながら、資料を広げる。
この状況で何を思ってんだ、
何に気づこうとしてんだ、俺は!!







集中できる筈もなく
もう一度、資料越しに
Aの姿を伺う。



土「……!…」



顔から足元に視線を移す。


…痛む、訳じゃねぇか……。
じゃあ……、


その横顔に視線を戻し、
倉庫内へぐるりと泳がす。



土「……っ、」







馬鹿か。







咄嗟に出た、この腕に。
咄嗟に掴んだ、その腕に。
理由があるとしたら
てめぇ自身の馬鹿さ加減に
呆れ果てたからだ。





「…!?っ、土方さ、」




んなことしたら、
余計だって
後から考えなくとも
明白なのに、


引き寄せた
虚ろな眼を今度は
俺が覗き込む。




土「…っ俺が、いるだろ」


「……っ、」




唇から零れ落ちた言葉は、
何も纏うことなく
微かに震えるAへと沁み込んだ。
更に駆り立てる可能性が
あることを孕みながら、それでも
ぐっと引き寄せた腕の力を抜けずにいる。



土「……いや、悪い。
…んなことしちゃ、余計に、」


「そんな…っ、違、
土方さんは……!」


土「…!」



掴んだ腕の震えが大きくなり、
それでも口元の布巾を下ろしながら
ぐっと俺を見上げる、A。
やはり、その眼の奥底に宿す深さに
幾度となく、呑み込まれそうになる。



「ひ、土方さんには…
違うん、です。その、
く、暗さと……冷えた空気と
静けさのせい……で……」



濁しながら、それでも
俺を庇うように必死に
言葉を手繰り寄せる姿に
自然とまた、引き寄せた腕で
その身を抱き締める。

思考は恐らく、停止している。



土「…俺だ。奴じゃねえ」


「……っ」


土「怯えなくていい。だが、
怖えなら、……頼れ」



俺の腕の中に収まった身体は
想像していたよりも
ずっと小っさくて、
小刻みに震えながら
か細く、返事をした気がしたAは
んっとに、あん時の猫みてぇだった。

ひゅんっつぅのか きゅんっつぅのか : 土方→←ありがち : 土方



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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時

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