ありがち : 土方 ページ39
土「っざけんな！！んだ！？
全然っ！あっかねえぇ！！」
何度力を入れてみても、
鍵がかかってる訳でもねぇ
ドアはビクともせず。
土「…っは！？さっきの音……」
「さっきの音？」
土「山崎がここと恐らく、
この先の資料庫のドアを閉めた。
その後、鈍い音がしたろ！？
向こう側でなんかが倒れて
突っ掛かってんだ…あんの、クソザキ！！」
「困りましたね…、
土方さん、お仕事の途中なのに」
土「それはお前もだろうが、って
そういう問題じゃねぇだろ！？」
論理的に考えて、不味い。
非常に不味い。
ここは窓もねえ、超密室空間。
そこに男と女が閉じ込められた。
なんだ、このありがちな展開！！
「でも、さっき山崎さんが
土方さんを探していた様子でしたよね。
きっとすぐに戻って来てくれますよ」
土「あいつに期待すんのは望み薄だが
携帯も持って来てねぇし…。
ま、待つしかねえか……」
この状況を何とも思ってねぇのか
妙に落ち着いているAに
悟られねぇよう、俺も何てことねぇ顔をする。
あれ。何とも思ってねぇの
状況じゃなくて、俺に対して？
あれ。男とも認識されてねぇ？
「よいしょ…、土方さん。
ここ、座れるようにしたのでどうぞ。
ここなら電球の下だし
資料も読めると思います」
そう言うと、物をどけ
毛布を座布団のように丸めて
座って仕事が出来るようにしてくれた。
………んっとに、なんでこんな
気が回んだ、こいつは。
土「……悪いな」
俺はその上に腰を下ろし、
資料を広げるフリをして
Aを見上げる。
豆電球のみの薄暗い部屋でも
その肌の白さは際立ち、
筋肉も脂肪もついてなさそうな
細い身体が、女中服を纏っていても分かる。
土「……お前、ちゃんと食ってるか」
「え？」
土「あ！いや！！悪い、
見て思った訳じゃなくてだな！？」
「食べてますよ。
幼少期から満足に、
食べられる環境じゃなかったからか
食が昔から細いんです。
そのせいでお客さんから
女らしくないとクレームが出たくらい」
さも、おかしく笑って見せるが
なんつうか、それは男と話す、
しかもこの状況で話す、
内容ではないんじゃねぇか…？
作業を進める、Aは
あ、と声を出し
俺に水を差し出した。
「すみません、埃っぽいですよね。
これ、どうぞ」
土「ああ、悪いな。…ごくっ」
「いいえ、飲みかけでごめんなさい」
土「っ！？？んぐっっ、げほ！？ごほ！」
「え、大丈夫ですか！？」
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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです！ありがとうございます！ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります！！ (2019年6月23日 22時) (
レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます！更新頑張ってください！ (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美雨 | 作成日時：2019年5月19日 23時
